最強勇者と他二名は再び異世界に飛ばされる~この世界は望まぬ御都合主義で廻ってる~

滓神 紙折

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第1章 鈴の音の残響

第2響 三色の光2

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話し合いの結果、出席番号順という事になった。

出席番号1番の青木が前に出る。

「では、お願いします。」
「すー。うっす。」

深呼吸をし、青木は水晶に手をおく。
ボワンと、穏やかな光が水晶を包む。
色は緑、中心には何やら記号が浮き出る。

「「おお!」」

周りにいる獣人の兵士が感嘆を上げる。

「ど、どうっすか?」
「しょ、しょうしょうお待ち下さい。何分私も見るのは初めてです故....過去の勇者の資料によると....適性魔法緑。ステータス期待値4、職業は盗賊。総合評価...Cランク!」

「し、Cランクで此処まで....!」
「さ、流石、異界の民....」

何やらまたしても兵士たちは声を上げているが、当の本人である青木は...

「ちょ、ちょっと待って下さい!と、盗賊って!?俺達は勇者じゃなかったんすか!?」

それに対して老人。

「ん、おお。そうでしたな。...言い忘れておりました。勇者の職は皆様の中の一人だけでございます。...しかし、落胆なさる事はありません。勇者でなくとも、流石異世界の方々。素晴らしい力でございます。」
「は、はぁ。そっすか。」

誉められてはいるものの、何か納得しづらい青木。

続いて二番浅見。

「せ、拙者の番ですな。」

ゴクリと喉を鳴らす浅見。
後ろのオタクから応援の声が上がる。
オタク組のリーダー格なだけあって、浅見は一部の生徒からの支持は厚いらしい。

水晶に手をのせる。

「むむむむむぅぃ!!」

気持ちの悪い奇声を発しながら手に力を入れる。

「こ、これは!」

老人が声を上げる。
色は緑と赤。光は水晶玉を覆い隠すほど強い。


老人評価タイム。

「す、素晴らしい結果でございます。浅見殿。適性魔法は緑と赤のなんと二色。ステータスの期待値は7。職業は指導者でございます。総合評価...文句無しのAランクです。」
「「おぉ!!」」

他の生徒からも声が上がる。

「にょほほ。流石、拙者でありますな!これからは二色使いの浅見と呼んでくれていいですぞ?」

丸眼鏡をクイクイと押し上げるオタク組リーダー。

「お、俺、あいつより下....?」

ガクリとうなだれる青木。

それからは特に逸脱した記録は出ず、順番はクラス委員長の桂木へと回ってきた。

「では、桂木殿、宜しくお願いします」
「はい!」

桂木は勢いよく水晶に手をかざす。

しかし...

「む。魔法適性、青。ステータス期待値2。職業は...無し。総合評価Eですな。....次の方~。」

「うわ、桂木Eだってよ。」
「えぇ。委員長、無職ぅ?それ、もう良い所顔ぐらいじゃん。」
「顔良ければよくねw」

一瞬で地に落ちるクラス内の評価。

「は、ぼ、僕が、この僕が無職....?しかもE.....そ、そんな!?あ、ありえない!何かの間違いだ!も、もう一度やらせて下さい!」

老人に掴みかかる桂木委員長。

「ちょ、は、放して下され!何度やっても同じ結果ですぞ!..むむ!?」

その時老人の後ろにある水晶が今までで最も輝き出す。

「こ、これは!」

目を見開く老人。
静まり返った大広間に響くたった一人の笑い声。

「ふ、ふひひ。......と...思った。だと思った!!....やっぱりだ、やっぱり僕は、いや、俺はぁ!ここでぇ!この、世界でぇ!!ふひっ、輝く運命だったんだっ!あっはははは!!!」

水晶から溢れ出る三色に輝く美しい後光を背に、顔を醜く歪めて笑う出席番号11番、倉橋京介が立っていた。
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