最強勇者と他二名は再び異世界に飛ばされる~この世界は望まぬ御都合主義で廻ってる~

滓神 紙折

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第1章 鈴の音の残響

第3響 鈴の音の残響1

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静まり返った大広間に一人の笑い声が響く。

「ふひひひ、僕が!この僕が!か、み!神!!..ふはっあっひゃひゃひゃ!!」 
「倉、橋...どうしちゃったんだ....?」
「倉橋ぃ?倉橋様だろうが!この無職がぁ!」
「うぐっ...!」

桂木を蹴り上げる倉橋。

「ずっとぉ、ずっと!待ってたんだよ!俺はぁ!このっ時をぉ!...いつもいつも、どいっつもこいっつも、僕の事を見下ろしやがってぇ!」

再び桂木の腹に蹴りを入れる倉橋。

「ふひはは、おい、ジジィ!とっとと言えよぉ、俺様のランクをよぉ!」
「は、はい。く、倉橋様の評価ですが、....適性属性、赤、緑、青のさ、三色。ステータス期待値は、じゅ、11。職業は...勇者でございます!」
「「な!?」」
「三色!?それも期待値11!?それって、歴代最高の記録なんじゃ...」
「勝てる!勝てるぞぉ!今回の戦争は、確実に我々の勝利だ!」

監視としてついて来た兵士が口々に倉橋を称える。

「ふひっ、当然だろぅが!この僕が勇者をしてやるんだ。勝て無いはずねぇよなぁ!ふひひひっ。」

笑いをかみ殺す倉橋。

「本当にどうしちまったんだ?あいつ...」

他のクラスメイトは声を荒げて笑う倉橋を遠目から眺める。


倉橋京介。
クラスでの落ちこぼれ組の一人。

特に個性があるわけでもなく、気弱で物静かな印象を受ける。

教室内では基本的に一人で本を読んでいる事が多い男子生徒。

それが1年1組内で彼がクラスメイトに与える共通の印象。

しかし、現在は、

「ふひひひっ。最っ強の勇者!ふひひひっ。」

周りが引いていくのも気にせず笑い続ける倉橋。

「さ、さて、既に勇者の職は埋まってしまいましたが、気落ちせずに、いきましょう。次の方~。」

それからも測定は続いたが、Aランク以上が出る事なく、順番は鈴織へと、回ってきた。

「では、お願いします。」

鈴織は無言で水晶に手をかざした。
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