継母と妹に家を乗っ取られたので、魔法都市で新しい人生始めます!

桜あげは

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57:表彰台と獲得ポイントについて

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 優勝? 私、勝ったの?
 考えがまとまらず、ぼーっとしたままカマルに手を引っ張られ、黒撫子寮の仲間のもとへつれて行かれる。

「アメリー! すごいじゃん!!」
「あんな飛行、初めて見たぜ!」
「歴代最速らしいぞ!!」
「また新聞……載るかも……」

 クラスメイトたちが、次々に声をかけてくれた。上級生も集まってくる。
 いつの間にか、サリーや青桔梗寮の寮長もゴールしており、白百合寮と黄水仙寮の寮長も無事競技場に到着した。
 それぞれの寮生がアンカーを迎え入れる。
 
 表彰式が始まるので、アンカーだった生徒は前に並ぶようにと放送が入る。
 しかし、ここで青桔梗寮の寮長が声を張り上げた。

「この順位は無効だ! 黒撫子寮は不正を行っている!!」

 白百合寮の寮長や、黄水仙寮の寮長も、一緒になって騒ぎ立てる。

「あんなヘドロ色の壁は、防御の魔法じゃない! 違反だ!!」
「どうせ、ショートカットでもしたんだろ。でなければ、黒撫子寮生がサリーに勝てるわけがない!」
 
 寮長の意見に、寮生たちも同意する。

「そうだ、そうだ。最後の加速だって、アイテムを使ったんじゃないのか?」
「最初と最後に一年生を固める作戦も、不自然だ!」

 それは、あなたたちがやったんでしょ! というツッコミはさておき、彼らの言いがかりを真に受けた会場がざわつき始める。
 赤薔薇寮生たちは、肯定も否定もせず沈黙していた。
 しかし、ここで待ったの声がかかる。教員席からだ。

「えー……先ほどの青桔梗寮、白百合寮、黄水仙寮の主張を魔法で検証したところ、全てルール違反ではないと判明しました」
 
 イヤホンマイク型の魔法アイテムで説明し始めたのは、なんと分校長である。
 彼女の傍らにはジュリアスが立っていた。
 黒撫子寮の担当教師が意見を言うと、公平性に欠けると指摘される恐れがあるので、分校長に頼んだのだろう。

「まず、ヘドロ色の壁ですが、色こそ異なるものの、効果は防御魔法と一緒なので問題ありません。攻撃に使われたわけではありませんし。次に、ショートカットについてですが、見回りの教師に確認したところ、そのような行為は見られないということです。こちらの水晶でも、道をそれた映像は映っていませんでした。それから、最後の加速についてですが、特にボードを改造したり、魔法アイテムを使用した形跡はありませんね。強いて言うなら、かなり年季が入っていますので、そろそろ買い換えた方がいいでしょう」

 いつの間にか、私のボードが分校長の手に渡っている!
 ゴールした際に落ちたものを、誰かが拾って彼女に届けたようだ。

「最後に、黒撫子寮は申請通りの順番で飛んでいますので、ルールは守られております。しかし、残念な出来事もありました」

 分校長の言葉を聞いた青桔梗寮、白百合寮、黄水仙寮の生徒は鬼の首を取ったかのようにはしゃぎ、ニヤニヤと黒撫子寮生を見てくる。嫌な感じだ。
 けれど、彼らのその表情は、分校長の次の言葉で崩れた。
 
「青桔梗寮、白百合寮、黄水仙寮は、ルール違反により失格です。歴史あるボードレースで、こんな出来事は前代未聞。非常に残念です」
 
 分校長の言葉を受け、再びざわつく会場。

「この三つの寮は、魔法都市を飛行中の生徒に魔法攻撃を仕掛けました。ボードレースでは、決まった種類の魔法玉しか用いてはなりません。ましてや、参加者以外の生徒が外野から攻撃を加えるなんて……」

 違反を指摘された寮の生徒は、「誤解だ!」などと叫んでいるが、彼らの言葉に耳を貸す者はいなかった。赤薔薇寮は表立った妨害行為をしていないのでお咎めなしだ。
 
 結局、私とサリーの二人が段上に上がり、揃って表彰された。
 姉妹ということもあってか、注目が集まる。
 
「お姉様、あんなに速く飛べるなんて知らなかったわ」

 無邪気な顔で微笑むサリーだけれど、彼女の目だけは笑っていなかった。

「ここで、各寮に入るポイントの発表です!」
 
 再び分校長の声が競技場に響く。

「青桔梗寮、白百合寮、黄水仙寮は0ポイント! 二位の赤薔薇寮は10ポイント! そして、優勝した黒撫子寮は30ポイント獲得!」
 
 黒撫子寮生から歓声が上がる。
 失格になった三寮の生徒は無言で俯き、赤薔薇寮生たちは、何食わぬ顔で拍手を送っていた。図太いな……
 
 今学期で一番のイベントはボードレースだけれど、次の学期にも高得点を狙えるイベントがあるという。
 次のイベントでも優勝すれば、総合ポイント獲得数が一位になり、黒撫子寮の皆と旅行に行けるかもしれない。
 そんなことを考えていると、分校長が近づいてきた。

「アメリー・メルヴィーン」
「あ、はい」
「あなたもなかなか、素晴らしい才能をお持ちのようね。どうかしら、Aクラスへ編入する気はないかしら?」
 
 今まで私を歯牙にもかけなかった分校長の豹変ぶりに、私は動揺を隠しきれない。
 それでも、なんとか声を絞り出した。

「いいえ、今のクラスが好きですので」
「あら、そうなの? 変わっているのね?」
 
 忙しい分校長は私にボードを返すと、「期待していますよ」と声をかけ、貴賓席へ歩いて行った。
 私も、黒撫子寮の皆がいる方へ向かう。
 
「アメリー、お疲れ様」

 寮の仲間たちが私を取り囲む。全員、達成感のある笑顔だった。
 
「よし、黒撫子寮で打ち上げだ! 全員分の食事を注文しよう!」

 リアムの提案には全員が賛成した。
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