旦那様が素敵すぎて困ります

秋風からこ

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第一章

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店からの帰り道。俺は足をフラフラさせる璃子を支えながら、朋子ちゃんと小野と、四人で歩いていた。

「あー、完全に酔っ払ってますね。すみません、永井さん。私もいたのに…」
「いや、朋子ちゃんのせいじゃないよ。悪いのはあいつらだろ」
「そうそう。よかったよ、間に合ってさ」

あのまま璃子があいつらに何かされていたらと思うと、背筋がゾッとする。

「それにしても、永井さんが璃子のお兄さんだとは知らなかったです!璃子ったら、私が永井さんのこと話したときは、全然知らないふうだったのに…」
「ああ、それなんだけど…」

「朋子!恭ちゃんはお兄ちゃんじゃないよ!」

それまで機嫌良さそうにしていた璃子が急に大きな声を出した。

「いいよ、璃子。今さら否定しなくてもさ。永井さん、璃子ったら、永井さんに奥さんがいるっていう噂聞いて、涙流してたんですよ!とんだブラコンですよね…」

朋子ちゃんは呆れ気味な声を出しているが…、泣いていたっていうのは初耳だ。おそらく相川との噂なんだと思うが、それを聞いて可愛い嫉妬をしていた璃子を思い、口元がほころぶ。

「だあ~かあ~らあ~!恭ちゃんの奥さんはこの私なんだからあ~!!!」

油断していた隙に、酔っ払いの璃子は俺の首に手を回し思いっきりキスをしてきた。小野がヒュ~と口笛吹いているが、朋子ちゃんは開いた口がふさがらないという様子だ。

「ごめん、朋子ちゃん。璃子も訳あって黙ってたんだけど、そういうことだから。でも、今後も秘密にしておいてもらえると助かるよ」

唇を離してもなお俺にしがみついている璃子の代わりに説明をし、なおも驚いている朋子ちゃんにまた璃子から連絡させると言って、家に帰った。


***


目をさますといつものベッドの上だった。
あれ?私どうやって帰ってきたんだっけ?よくよく考えても、昨日先輩たちとの飲み会の途中から記憶がぼやけていて、上手く思い出せない。
不思議に思いながら体を起こすと軽く頭痛がした。

「璃子、起きた?」

私の動く気配を察したのか、リビングから恭ちゃんが姿をあらわした。

「もうすぐお昼だよ。具合はどう?」
「ちょっと頭痛い…。恭ちゃん、私昨日どうやって帰ってきたんだっけ?なんかあんまり覚えてない…」
「俺が連れて帰ってきた。璃子、あいつらに酒飲まされたんだよ」
「え、お酒!?そう言われてみると、最後に飲んだジンジャーエールがなんか変な味がしたような…」

先輩は外国のジンジャーエールだとかなんとか言ってた気がするけど、お酒だったわけ!?でもなんでそんなことするの?

「あいつら璃子に酒を飲ませて…たぶん持ち帰ろうとしてた。まだちゃんと確認したわけじゃないけど、どうやら相川が一枚噛んでるらしい」

そう言って恭ちゃんは昨日の事の顛末を教えてくれた。

「お、お持ち帰り!?それに、相川さん!?なんか全然意味わからないんだけど…」
「言葉に出すのも嫌だけど、璃子を傷物にして、俺たちを別れさせようとしてたんじゃないかと思う」
「そんな…。相川さんは、恭ちゃんのことが好きなのかな?」

一歩間違えば先輩たちにいいようにされていたかと思うと、手が少し震えた。そんな私の手を恭ちゃんの大きな手が包み込んでくれた。

「相川が俺に好意を持っているかはわからない。だいたいそういう女はわかるけど、相川にはそんな気配なかったんだ。だから友達として付き合ってたんだし。でも、俺のせいで璃子に恐い思いさせてごめん」
「そんな!恭ちゃんのせいじゃないよ!悪いのは、先輩たちと、相川さんなんでしょ?」

ぎゅっと恭ちゃんにしがみつくと、私の背に手を回して優しく抱き返してくれた。恭ちゃんにくっついていると安心する。

「その辺は俺の方で調べてみる。もうこんなことがないように。璃子はしばらく1人にならないようにして。たくさん人がいる飲み会とかも、当分は控えてくれる?」
「うん、わかった」
「昨日は、璃子に何かあったらどうしようって、頭が真っ白になった…」

恭ちゃんは少し体を離して、私の目を覗き込むと、私の存在を確かめるように、触れるだけのキスをした。そして、急にフッと笑いだした。

「なに?どうしたの?」
「いや、昨日の璃子のキスはすごかったなって」
「え!どんなキス?!私酔っ払ってる時にしたの?」

全く覚えのないことを指摘されてびっくりする。恭ちゃんはなんだかすごく面白そうだし、私どんなキスをしちゃったの!?

「小野と朋子ちゃんの前で、俺とは兄弟じゃないって言いながら、ものすごく濃厚なのをね」
「えーーーーーー!恥ずかしい!!!じゃ、じゃあ朋子は…」
「夫婦だって知ってるよ。一応秘密にしておいてって言っておいたから、あとで連絡してみな」
「わ、わかった…」

私ってば、なんでそんなことしちゃったんだろう。秘密にしてた私のこと、朋子はどう思ってる?友達を続けてくれるのかな?それに、人前で思いっきりキスをしたことに引いてるよね…?とにかく、早く朋子に連絡しないと!

「っ!いったあ……」

ガバッと顔をあげると、頭がズキズキした。

「軽く二日酔いになってるんだろ。もう少しおとなしくしてな。お昼は俺が軽いもの作るよ」
「ありがとう。恭ちゃん。迷惑ばっかりかけてごめん」

しゅんとした顔で恭ちゃんを見つめると、そんなことないよと頭を撫でてから、昼食を作りに行ってくれた。私はそんな恭ちゃんに甘えて、頭痛がおさまるまでしばらくベッドに横になっていた。


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