旦那様が素敵すぎて困ります

秋風からこ

文字の大きさ
11 / 12
第一章

11

しおりを挟む
しばらく休んでお昼ご飯を食べた後、いよいよ朋子に連絡をすることにした。ううう、ドキドキする…。
携帯をとり、発信ボタンをタップすると数コールで朋子が出た。

「朋子?あ、あの今少し時間大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。何?」
「昨日のことなんだけど、ごめんね。酔っ払っちゃったみたいで、迷惑かけて」
「なんだそんなこと?私は全然迷惑かけられてないよ。それに、お酒だって璃子が自主的に飲んだわけじゃないんだし。それよりー、だ・ん・な・さ・まに感謝しなさいよねー!」

!!!!
恭ちゃんのことをどう切り出そうかと思っていたのに、いきなり朋子がそのことに触れてきたから、変な声が出た。

「そのことなんだけど…朋子、黙っててごめん。お、怒ってる?」
「うん、怒ってる!」

やっぱり…。自分のせいとはいえ、大事な友達を怒らせてしまったことに対して、後悔とか申し訳なさとかが溢れ出てきて、じわっと目に涙が滲んだ。

「なーんてね。言ってくれなかったことは少し寂しいけど、あんな旦那様じゃ、しょうがないんじゃない?そもそも、言われても信じなかったと思うし!」

朋子はそう言ってケラケラと笑った。

「ううう、朋子ー!ごめんー!許してくれてありがとー!」

安堵のあまり滲んでいた涙が滝のように出てきた。ひっくひっくと泣きじゃくり、ズルズルと鼻をすする。

「ったく璃子ってば、泣きすぎ。汚い顔してると、愛想尽かされるよ」
「それは困る…」

そして私たちはどちらからともなく笑った。

「朋子、これからも友達でいてくれる?」
「あったりまえでしょ!そんで、今度永井さんのイケメンの友達紹介してよ」
「ありがとう!と、友達の紹介は…恭ちゃんに聞いとくね」
「絶対だよ!よろしくね!!」

朋子はこれでもかと念を押してから電話を切った。さすが朋子。…恭ちゃんに相談してみよう。
それにしても、朋子が私のことを許してくれて、これからも友達でいてくれるって言ってくれて、本当に安心した。大学からだから、まだまだ短い付き合いだけど、大事な大事な友達だから。



「恭ちゃん!」

電話を終えてリビングに行き、ソファーで本を読んでいた恭ちゃんに抱きついた。

「電話終わったの?」
「うん。朋子、秘密にしてたこと許してくれた」
「よかったな。いい子そうだったし、俺は大丈夫だと思ってたよ」

恭ちゃんが私の髪を梳きながら、優しく見つめてくれる。

「そ、それでね。その代わりってわけではないんだけど、朋子が…男の子を紹介して欲しいって。恭ちゃんの友達で誰かいるかなあ?」
「男?まあ適当に彼女いないやつに声かけてもいいよ」
「本当!?ありがとう!できれば、その、イケメンでお願いします」
「…どんなのがイケメンなのかよくわからないけど、もてそうなやつに当たってみるよ」

若干困りつつも恭ちゃんが引き受けてくれて、私は胸をなでおろした。

「そんなことより、璃子…」

ホッとしていたのもつかの間、突然恭ちゃんが色気だだ漏れな目で私を見つめてきて、心臓がドキドキと音を立てる。

「頭痛いの大丈夫ならさ、しよっか?」

一応問いかけられてはいるものの、恭ちゃんのお誘いを一度も断ったことがない私の答えは、すでに知られているだろう。こくんと頷くと、恭ちゃんの手がワンピース型のルームウェアの下から入り込み、ショーツ越しに私のお尻を撫で始める。

「ここがいい?ベッドがいい?」
「…ベッド」





「璃子が無事で、本当によかった…」

とろけるようなキスや愛撫をしながら、恭ちゃんが何度も私の名前を呼ぶ。私だって、こんなこと恭ちゃん以外とは考えられないよ。
身体をとろとろにとかされてから、恭ちゃんがゆっくりと入ってくる。ゆっくり、ゆっくり、形を覚えこませるように。
いつもとは違うペースのそれに、私はいつも以上に感じすぎてしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

優しい紳士はもう牙を隠さない

なかな悠桃
恋愛
密かに想いを寄せていた同僚の先輩にある出来事がきっかけで襲われてしまうヒロインの話です。

年下夫の嘘

クマ三郎@書籍&コミカライズ3作配信中
恋愛
結婚して三ヶ月で、ツェツィーリエは一番目の夫を亡くした。朝、いつものように見送った夫は何者かに襲われ、無惨な姿で帰ってきた。 それから一年後。喪が明けたツェツィーリエに、思いもよらない縁談が舞い込んだ。 相手は冷酷無慈悲と恐れられる天才騎士ユリアン・ベルクヴァイン公爵子息。 公爵家に迎え入れられたツェツィーリエの生活は、何不自由ない恵まれたものだった。 夫としての務めを律儀に果たすユリアンとの日々。不満など抱いてはいけない。 たとえ彼に愛する人がいたとしても……

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。

しゃーりん
恋愛
ルーチェは夫を亡くして実家に戻り、気持ち的に肩身の狭い思いをしていた。 そこに、王宮から仕事を依頼したいと言われ、実家から出られるのであればと安易に引き受けてしまった。 王宮を訪れたルーチェに指示された仕事とは、第二王子殿下の閨教育だった。 断りきれず、ルーチェは一度限りという条件で了承することになった。 閨教育の夜、第二王子殿下のもとへ向かう途中のルーチェを連れ去ったのは王太子殿下で…… ルーチェを逃がさないように愛妾にした王太子殿下のお話です。

兄の親友が彼氏になって、ただいちゃいちゃするだけの話

狭山雪菜
恋愛
篠田青葉はひょんなきっかけで、1コ上の兄の親友と付き合う事となった。 そんな2人のただただいちゃいちゃしているだけのお話です。 この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。

私に義弟が出来ました。

杏仁豆腐
恋愛
優希は一人っ子で母を5年前に亡くしていた。そんな時父が新しい再婚相手を見つけて結婚してしまう。しかもその相手にも子供がいたのだった。望まない義弟が出来てしまった。その義弟が私にいつもちょっかいを掛けてきて本当にうざいんだけど……。らぶらぶあまあまきゅんきゅんな短編です。宜しくお願いします。

旦那さま、誘惑させていただきます!

永久(時永)めぐる
恋愛
オタクで、恋愛には縁のない生活を送っていた佐久間桃子は、弁護士の久瀬厳と見合いの末、めでたく結婚した。 顔良し(強面だけれど)、スタイル良し、性格良し。非の打ちどころがない完璧な旦那様との新婚生活は楽しくて幸せいっぱい。 しかし、ひとつだけ気がかりがあった。 悩んだ彼女は大胆な計画を立てたけれど……? ※書籍化のため、2016年9月17日をもちまして本編及び一部番外編を引き下げました。 ※書籍化にあたりタイトルを少々変更いたしました。

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

処理中です...