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第一章
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「ねえ、璃子!経済学部の永井さん、結婚してるんだって!!!ショックー!」
授業の合間の昼休み、いつも皆で集まる食堂で席につくと、突然友人の朋子が泣きついてきた。
え、永井って…。私は冷や汗をダラリとかいた。
「私狙ってたのに!あーもー!奥さんてどんな人なんだろう?絶対美人だよね?!っていうか美人じゃないと許さない!」
「ぶふっ!!!!」
「うわ!璃子、なに吹き出してるの?!きたなっ…!ったく相変わらず間抜けなんだから…」
朋子は鼻息荒くまくし立てながらも、ご飯を吹き出した私にティッシュを差し出してくる。
「ありがとう…。あの、さ、永井さんって誰?有名人なの?」
「はあああ?!あんたどれだけニブイのよ…。永井恭さんといったら、2年連続ミスターコンテストで優勝してる大学一のイケメンでしょうが!しかも、経済学部で首席らしいし、親がどっかの社長でお金持ちなんだって!つまり、顔、頭、お金を全て持ってる超優良物件なわけよ!」
ずずいと迫ってくる朋子に若干引きつつ、「そうなんだ…」と辛うじて返事をする。
「なんだけど、誰とも付き合わないって有名で、外に彼女がいるんじゃないかって言われてたんだけど…、なんと!結婚してたらしいのよー!学生結婚だよ?!奥さんのことどんだけ愛しちゃってるの?!って感じだよ…」
朋子はガクっと項垂れて机につっぷした。
「ま、まあ何か理由があったんじゃないかな?」
「ん、そういえば、璃子。あんたも永井だったわね…。まさか!あんたが奥さんってことはないわよね?!」
「!!!んー!!!ごほっ!ごほっ!」
びっくりしてご飯を喉につまらせてしまった!く、苦しい、お水!お水!
手を彷徨わせていると、朋子がお水の入ったボトルを渡してくれる。
「なんてね。こんなぼーっとしてて、ドジで抜けてる璃子が永井さんの奥さんなわけないよねー。永井なんて苗字、結構いるしね」
ぼーっとしてるとかドジとか抜けてるとか言われて複雑だったけど、朋子が自己解決してくれてよかった…。私は水を飲んでからこくこく頷いた。
「とりあえずさ、永井さんを見たことのない可哀想な璃子のために、次の時間は4号館の経済の授業にもぐるから!」
「えええええ?!いいよ、私、興味ないし…」
「見たら絶対びっくりするから!っていうか私が見たいから!どうせ空き時間なんだからいいでしょ?」
「は、はい……」
押しに弱い私は朋子に逆らえず、全くありがたくないことに経済の授業にもぐりこむことになってしまった…。
4号館には大きな講堂があって、経済の授業はそこで行われる。かなりの人数が授業をとっているのだろう。早めに講堂に行くとすでに多くの学生たちが席をとって、ザワザワとおしゃべりをしていた。
私は見つからないようにキョロキョロと視線を彷徨わせながらそろそろと歩く。
「ねえ、璃子。なんでそんなキョロキョロしてるの?歩き方もなんか変だし…」
「いや、知り合いに会ったら履修てないのがバレちゃうかなーなんて!!」
「こんだけ大きい授業なんだから大丈夫だって。それに、もぐってる人なんてたくさんいるんだからチクられやしないよ…」
「そ、そっかあ…」
「あれ、璃子ちゃん?」
びくうっ!!
びっくりして声の方に顔を向けると知った顔がいた。
小野くん!!!今!話しかけないで!!!と目で訴えかける。
するとなんとなく空気を察した小野くんが、「わ、悪い…」と言って去って行った。
「ちょっとちょっと!璃子ったら小野さんと知り合いなの?!小野さんはねえ、永井さんに次ぐモテ男なんだよ!!し、か、も!永井さんの友達!類は友を呼ぶっていうかー、やっぱいイケメンはイケメンと友達なんだよねー」
「いや、前なんかの飲み会でちらっと会ったっていうか、知り合いっていうか、顔見知りっていうか…」
苦しい言い訳をぐだぐだと並べるが、本当のことを言うわけにはいかない…。私はなんとか朋子の意識をそらして後ろの方の席に着いた。
しばらくすると小野くんが座っている席の隣にあの人が現れた。心なしか講堂内の女子がざわめき出した気がした。
「璃子、あの小野さんの隣に来たのが永井さんだよ!目元が涼しげで超かっこいいでしょ?それに、スラッとしてて、背が高くて、文句のつけようがないわー」
「う、うん。本当だね…」
私がてきとうに相づちを打つと噂の永井さんが後ろを振り返ったので、私はサッと机に顔を伏せる。
「ねえ、今永井さんがこっち見たよ!!あー、私のこと見て一目で恋に落ちてくれたりしないかなあ」
完全に夢見る乙女になっている朋子を横目で見つつ、そろりそろりと顔をあげる。危ない。気づかれなかったかな?大丈夫かな?小野くんチクってないよね?察してくれたよね?
私はぐるぐるとそんなことを考えて講義の時間を過ごした。そして講義が終わると「用事があったんだった!!」と言ってダッシュで講堂を後にした。
授業の合間の昼休み、いつも皆で集まる食堂で席につくと、突然友人の朋子が泣きついてきた。
え、永井って…。私は冷や汗をダラリとかいた。
「私狙ってたのに!あーもー!奥さんてどんな人なんだろう?絶対美人だよね?!っていうか美人じゃないと許さない!」
「ぶふっ!!!!」
「うわ!璃子、なに吹き出してるの?!きたなっ…!ったく相変わらず間抜けなんだから…」
朋子は鼻息荒くまくし立てながらも、ご飯を吹き出した私にティッシュを差し出してくる。
「ありがとう…。あの、さ、永井さんって誰?有名人なの?」
「はあああ?!あんたどれだけニブイのよ…。永井恭さんといったら、2年連続ミスターコンテストで優勝してる大学一のイケメンでしょうが!しかも、経済学部で首席らしいし、親がどっかの社長でお金持ちなんだって!つまり、顔、頭、お金を全て持ってる超優良物件なわけよ!」
ずずいと迫ってくる朋子に若干引きつつ、「そうなんだ…」と辛うじて返事をする。
「なんだけど、誰とも付き合わないって有名で、外に彼女がいるんじゃないかって言われてたんだけど…、なんと!結婚してたらしいのよー!学生結婚だよ?!奥さんのことどんだけ愛しちゃってるの?!って感じだよ…」
朋子はガクっと項垂れて机につっぷした。
「ま、まあ何か理由があったんじゃないかな?」
「ん、そういえば、璃子。あんたも永井だったわね…。まさか!あんたが奥さんってことはないわよね?!」
「!!!んー!!!ごほっ!ごほっ!」
びっくりしてご飯を喉につまらせてしまった!く、苦しい、お水!お水!
手を彷徨わせていると、朋子がお水の入ったボトルを渡してくれる。
「なんてね。こんなぼーっとしてて、ドジで抜けてる璃子が永井さんの奥さんなわけないよねー。永井なんて苗字、結構いるしね」
ぼーっとしてるとかドジとか抜けてるとか言われて複雑だったけど、朋子が自己解決してくれてよかった…。私は水を飲んでからこくこく頷いた。
「とりあえずさ、永井さんを見たことのない可哀想な璃子のために、次の時間は4号館の経済の授業にもぐるから!」
「えええええ?!いいよ、私、興味ないし…」
「見たら絶対びっくりするから!っていうか私が見たいから!どうせ空き時間なんだからいいでしょ?」
「は、はい……」
押しに弱い私は朋子に逆らえず、全くありがたくないことに経済の授業にもぐりこむことになってしまった…。
4号館には大きな講堂があって、経済の授業はそこで行われる。かなりの人数が授業をとっているのだろう。早めに講堂に行くとすでに多くの学生たちが席をとって、ザワザワとおしゃべりをしていた。
私は見つからないようにキョロキョロと視線を彷徨わせながらそろそろと歩く。
「ねえ、璃子。なんでそんなキョロキョロしてるの?歩き方もなんか変だし…」
「いや、知り合いに会ったら履修てないのがバレちゃうかなーなんて!!」
「こんだけ大きい授業なんだから大丈夫だって。それに、もぐってる人なんてたくさんいるんだからチクられやしないよ…」
「そ、そっかあ…」
「あれ、璃子ちゃん?」
びくうっ!!
びっくりして声の方に顔を向けると知った顔がいた。
小野くん!!!今!話しかけないで!!!と目で訴えかける。
するとなんとなく空気を察した小野くんが、「わ、悪い…」と言って去って行った。
「ちょっとちょっと!璃子ったら小野さんと知り合いなの?!小野さんはねえ、永井さんに次ぐモテ男なんだよ!!し、か、も!永井さんの友達!類は友を呼ぶっていうかー、やっぱいイケメンはイケメンと友達なんだよねー」
「いや、前なんかの飲み会でちらっと会ったっていうか、知り合いっていうか、顔見知りっていうか…」
苦しい言い訳をぐだぐだと並べるが、本当のことを言うわけにはいかない…。私はなんとか朋子の意識をそらして後ろの方の席に着いた。
しばらくすると小野くんが座っている席の隣にあの人が現れた。心なしか講堂内の女子がざわめき出した気がした。
「璃子、あの小野さんの隣に来たのが永井さんだよ!目元が涼しげで超かっこいいでしょ?それに、スラッとしてて、背が高くて、文句のつけようがないわー」
「う、うん。本当だね…」
私がてきとうに相づちを打つと噂の永井さんが後ろを振り返ったので、私はサッと机に顔を伏せる。
「ねえ、今永井さんがこっち見たよ!!あー、私のこと見て一目で恋に落ちてくれたりしないかなあ」
完全に夢見る乙女になっている朋子を横目で見つつ、そろりそろりと顔をあげる。危ない。気づかれなかったかな?大丈夫かな?小野くんチクってないよね?察してくれたよね?
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