【連載中】僕を見つめる瞳

知らない世界

目が覚めると3

やはりここは学校ではないようだった。


「.........」


自分でもここがどこだか分からない。


男に投げかけられた事に返す言葉が思いつかず、表情を変えずじっと見つめ返してしまった。


「聞いているのか?」


「............ここはどこですか」


いつまでもこんな所には居られない。まずはここがどこだか把握して、さっさと帰ろうと思いながら男に尋ねる。


「私の家だ」


.............


「...........家...ですか....?（誘拐....ではないよな.....さすがに...）」


こんな地味な男をわざわざ学校から誘拐などしないだろう。


「ああ、私の家だ」


「.....帰りたいんですが、ここは学校からどの辺りの家ですか....?（きっと寝ぼけながら彷徨っていた僕を保護してくれたんだ......きっとそうだ.......）」


とても親切な人だと思い込み、自分に言い聞かせていた。


「学校?何を言っているんだ。どう見ても学院の生徒には見えんが.....」


ジロジロと学校の制服を着ている僕を見ながらそう言った。


言ってることを理解できず答えられないでいると、男は不快感を隠そうともせずこう言った。


「.....................どこの家の刺客だ。素直に吐けば命だけは助けてやろう」


「..............（刺客???）」


黙っている僕にそう告げた男は、先程と打って変わって人を殺すかのような目で僕を睨んできた。


ここの場所を聞いていただけなのに、どうして命などという話になっているんだ、訳が分からない。


ますます困惑し頭の中は真っ白になっていたが、僕は表情が無表情のままだった。


そんな僕を見て男はさらに顔を歪め、今まで椅子に座っていたのをスっと立ち上がった。


とてもスタイルが良い。


物語で出てくる貴族のような格好をしており、何故か帯剣していた。


宝飾がなされキラキラと輝いておりとても豪華な剣だった。


「...........銃刀法違反じゃないのか....やっぱり誘拐なのか...」


「ジュートー、ホー?また訳の分からないこと.......やはり怪しい...真面目に答える気はないようだな」


困惑した頭で考えていたことがいつのまにか口から出ていたらしい。


いやだって今どき帯剣してる人なんて見たことないよ!


ほんとになんで僕はこんなに責められているんだ....


何と答えたらこれ以上怒られないのかとグルグルと考えていたその時、首にヒヤリと冷たいものを感じた。










「動くな」