【連載中】僕を見つめる瞳

学院と呪い

事前準備6

その後あっという間に三日が経ち、とうとう学院へ行く日となった。


真新しい制服に袖を通し緑のネクタイを着けた僕は、一人馬車に揺られながら学院までの道のりを窓からぼーっと見て先程レイシャル様に言われたことを思い出していた。


「学院で過ごしていく上で気をつけなければならない人物が二人いる。王太子のユリウス・クロウ・ガードラント、その王太子の補佐ブロンス侯爵家のシューナル・ブロンスの二人だ。この二人はネフィルと面識があってよく3人で遊んでいたんだ。12年も経っているから気づかれないとは思うが、一応注意はしておくように」


王太子に王太子補佐...........。


できるだけ会わないようにしなければ......ああ、緊張で手が震える。


そんな僕を見たレイシャル様は僕の手をギュッと握った。


「1か月よく頑張った。正直そこまで期待はしていなかったんだ.....だが今の君を見てそんな考えはもうない。君の努力が君の力となり守ってくれるだろう。........君と初めて会った時、剣を向けて本当にすまなかった。私達は君の無事を祈っている。だから困ったことがあれば遠慮なく頼りなさい」


レイシャル様は僕を真っ直ぐ見つめながらそう言った。


「海翔かいと、この間はあんな風に言ってしまったけれど、あなたはもう私達の家族よ。無茶な事だけは絶対にしないで......必ず無事に帰ってくるのよ」


メリア様はそう言いながら僕の頭を優しく撫でてきた。


二人の言葉に泣きそうになってしまう。


こんなに優しくて愛おしそうな目で見られたことは今までで一度もなかった。


家族、か.......。


きっと僕の両親は僕を愛してはいなかったのだろう。


少しだけ悲しくなったが目の前の二人のおかげで緊張が和らいだのか手の震えがいつの間にか止まっていた。


「........必ず解呪の方法を見つけ出し、無事に帰ってきます..............行ってきます......!」


「「行ってらっしゃい」」


僕がそう言うと、二人はとても優しい笑顔で見送ってくれた。


そんな二人の役に立つため頑張らなくてはならない。


決意をかため馬車に乗り込んだ。




































ネフィル・ディーランス...............必ず救ってみせる。

































そんな気持ちが日に日に強くなっていたのは..........。