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〈11〉おじさま、買います! 3
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誓約書がふわりと舞い上がって。
青い炎が勢いを増して。
「……消えた?」
「おい、連れて来てやれ」
連れてくる?
もしかして--
なんて思いを胸に振り向いた先に、白い手袋が見えた。
スラリとしたズボン。
燕尾のジャケット。
見え隠れする淡い色のベスト。
「執事、服……」
「なにを惚けてるんだい? オプションに付けろって言ったのはおまえさんだろ?」
「……はい。ありがとうございます」
けど、突然、出てくるとは思わないでしょ!?
執事らしいパリっとした衣装に、白い手袋。
片手をお腹の前で水平に下ろして、静かな澄まし顔で目を伏せている立ち姿。
しかも、首元が細身のクロスタイ!!
--細身のクロスタイぃいいい!!!!
このお姉さん、わかってる!!
ほんと、おねぇさま!!!!
いえ、決してネクタイタイプの執事服が悪い訳ではないの。ないのだけれど、いま、私の目の前にいるおじさま--セバスチャンの優しい目や微笑み、醸し出すオーラ! その他もろもろを考えると、それこそが最善であり、至高であり、究極の逸品だとしか形容できないのよね! ここにモノクルがあれば、完成なのだけど、その未完である部分もまた乙! 永久に終わらない迷宮を、私がこの手で完成させるための余地を残している。そこに愛が産まれる!! つまりはーー
「お待たせ致しました。お嬢様。そちらのお荷物は、いかが致しますか?」
「……ぇ? お嬢様……??」
それって、もしかして、
--私の事!???
「申し訳ございません。主様とお呼びした方が--」
「いっ、いえ、大丈夫です! お嬢様と呼んでください!! そういうの、大好物です!!!!」
「かしこまりました。お嬢様」
くふぅうううううううう!!!!!!!!
なにこれ!?
なんのご褒美!???
こんなの、貰っちゃっていいの!???
--このおじさま!! まじ、おじさま!!!!
萌え死んじゃう!!!!
……っと、落ち着くのよ、私。
おじさまは確かにかっこいいけど!
すっごく格好いいけど!!
「はぁぁ……。やっぱり、格好いいなぁ……」
「…………お嬢様、いかがなさいましたか?」
--はっ!?
もしかして、声に出てた!???
えっと、すー、はぁー、すー、はぁー……。
「こほん。あー、あー、あー……。よし」
落ち着くのよ、私。
妄想の中で、何度も練習したでしょ?
まずは、自分の後ろ髪をふぁさー、ってしてから。
声の雰囲気も変えて!
「何でもないわ。セバス、出口まで案内しなさい」
「かしこまりました」
…………。
--くふぅぅぅぅうううう!!!!
いい!! すごくいい!!!!
青い炎が勢いを増して。
「……消えた?」
「おい、連れて来てやれ」
連れてくる?
もしかして--
なんて思いを胸に振り向いた先に、白い手袋が見えた。
スラリとしたズボン。
燕尾のジャケット。
見え隠れする淡い色のベスト。
「執事、服……」
「なにを惚けてるんだい? オプションに付けろって言ったのはおまえさんだろ?」
「……はい。ありがとうございます」
けど、突然、出てくるとは思わないでしょ!?
執事らしいパリっとした衣装に、白い手袋。
片手をお腹の前で水平に下ろして、静かな澄まし顔で目を伏せている立ち姿。
しかも、首元が細身のクロスタイ!!
--細身のクロスタイぃいいい!!!!
このお姉さん、わかってる!!
ほんと、おねぇさま!!!!
いえ、決してネクタイタイプの執事服が悪い訳ではないの。ないのだけれど、いま、私の目の前にいるおじさま--セバスチャンの優しい目や微笑み、醸し出すオーラ! その他もろもろを考えると、それこそが最善であり、至高であり、究極の逸品だとしか形容できないのよね! ここにモノクルがあれば、完成なのだけど、その未完である部分もまた乙! 永久に終わらない迷宮を、私がこの手で完成させるための余地を残している。そこに愛が産まれる!! つまりはーー
「お待たせ致しました。お嬢様。そちらのお荷物は、いかが致しますか?」
「……ぇ? お嬢様……??」
それって、もしかして、
--私の事!???
「申し訳ございません。主様とお呼びした方が--」
「いっ、いえ、大丈夫です! お嬢様と呼んでください!! そういうの、大好物です!!!!」
「かしこまりました。お嬢様」
くふぅうううううううう!!!!!!!!
なにこれ!?
なんのご褒美!???
こんなの、貰っちゃっていいの!???
--このおじさま!! まじ、おじさま!!!!
萌え死んじゃう!!!!
……っと、落ち着くのよ、私。
おじさまは確かにかっこいいけど!
すっごく格好いいけど!!
「はぁぁ……。やっぱり、格好いいなぁ……」
「…………お嬢様、いかがなさいましたか?」
--はっ!?
もしかして、声に出てた!???
えっと、すー、はぁー、すー、はぁー……。
「こほん。あー、あー、あー……。よし」
落ち着くのよ、私。
妄想の中で、何度も練習したでしょ?
まずは、自分の後ろ髪をふぁさー、ってしてから。
声の雰囲気も変えて!
「何でもないわ。セバス、出口まで案内しなさい」
「かしこまりました」
…………。
--くふぅぅぅぅうううう!!!!
いい!! すごくいい!!!!
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