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〈18〉朝食も食える!!
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頑丈なドアと壁がある寝床は、俺が思っていた以上に安心出来るものだったらしい。
いつの間にか深い眠りに落ちていた俺は、微睡む意識の中で、ぽんやりと目を開いた。
「……リリ?」
「はっ、はい! おはようございます!」
なぜか慌てた様子のリリが、深く頭を下げている。
大きな猫の耳と尻尾が、朝からペタンと倒れていた。
「眠れなかったのか?」
「いっ、いえ。久しぶりのベッドだったので、グッスリでした」
「そっか、それなら良かった」
「はい。ご主人様のおかげです」
なにが俺のお陰なのか分からないが、否定はしないでおこうと思う。
顔色は昨日と比べると良く見えるし、眠れたと言うのも嘘じゃなさそうだな。
「すぐに支度するから、リリも……」
そう言って彼女を見たが、腰まである長い黒髪や尻尾に乱れはなくて、服も綺麗に整っている。
「女の子の準備は時間がかかる、って聞いてたんだがな」
「あの、えっと、ご主人様をお待たせしたら、ダメですから……」
ほんのりと頬を赤らめたリリが、恥ずかしそうに顔を背けた。
つまりは、俺を待たせないために、早起きをしたのだろう。
彼女の心境を考えると理解は出来るけど、下手に無理をしても体に毒なだけだからな。
「リリは奴隷じゃなくて、仲間だって言ったろ? 先に起きていたのなら、起こしてくれれば良かったのに。暇だったんじゃないか?」
「いっ、いえ、私が早く起きてしまっただけですから」
「そうか?」
「はい」
まぁ、そのあたりは追々 慣れていけばいいか。
「わかったよ。ちょっと待っててな」
乱れないようにリリの髪を優しく撫でて、大きく伸びをする。
机の上に置いてあった透明な袋をズボンのポケットにねじ込んだ。
あとは武器があれば完璧なんだけど、ないのだから仕方がない。
「今日はどうする? 俺としては、薬草の採取でいいと思うんだけど」
「わかりました。私は、グリーンスライムですね?」
「……うん。よろしく」
「はい!」
危険だからスライムも俺が……、などと言いそうになったけど、どう考えても任せた方がいいな。
楽しそうに微笑むリリと一緒に部屋を出て、宿の延長を申請してから、南の門へと歩いていく。
「今日も頑張らなきゃですね」
「そうだな」
他の宿は知らないし、第4王女に貰った本の置き場もない。
だから今の宿を延長してー、って事になったけど、マジで金がやばい。
毎日3000ルネンの出費は、目眩がしそうだ。
でもまぁ、帰る場所があると思うと安心するし、服なんかも置けるからな。
俺はともかく、リリの服が1着しかないのはな。
今日も昨日と同じくらい稼げたら、古着でも買いに行くのもいいかも知れない。
もちろん、飯の確保が最優で!
「1日にして、浪費家になった気分だな……」
「?? ご主人様、何か言われましたか?」
「いや、何でもないよ」
普通に考えたら、今までがおかしかっただけで、必要最低限の投資だからな。
大きく息を吸い込んで、晴れ渡る空に目を向ける。
周囲には美味しそうな香りが漂っていて、朝食を売る露天が軒を揃えていた。
「リリ、なにか食べたいものはあるか?」
「え? 今日も買って頂けるんですか?」
「もちろん」
目を見開いたリリが周囲に視線を向けて、サンドイッチを売る店で尻尾をピンと立てた。
そして、なぜか首を横に振った彼女が、黒い小さなパンを売る店に手のひらを向ける。
「えっと、あれを……」
黒パンが1個 50ルネン。
サンドイッチは種類にもよるけど、200ルネン前後……。
「卵は嫌いじゃないよな?」
「え? あっ、はい。もちろんです、けど……? たまご、ですか??」
「了解」
嫌いな物があるなんて、金持ちだけの贅沢だからな。
不思議そうな顔をするリリを横目に、サンドイッチの店の前に立つ。
「おじさん、卵のヤツ、2つくれる?」
「あいよ」
なけなしの金と交換して、1つをリリに握らせた。
「ぇ……?」
「食べながら歩くぞ? 大丈夫か?」
「!! はっ、はい! ありがとうございます!」
手の中にある卵サンドを見詰めて、リリがごくりと喉を鳴らしていた。
はむっ、と小さな口で頬張って、耳と尻尾をピンと立ててる。
口元が、幸せそうにゆるんで見えた。
「おい、見ろよ。あの子、すげー可愛いくね?」
「おぉ、上玉だ! ……って、手首に奴隷印あんぞ」
「かー! なんだよ。隣の男の奴隷かよ」
「可愛い子を独り占めとか、金持ちくたばれ」
周囲からそんな声が聞こえてくるけど、それも仕方ない。
「変なのに絡まれる前に行こうか」
「へんなの、ですか……?」
不思議そうに周囲を見るリリの視線に当てられて、何人かがピクンと肩を震わせる。
「んー? わかりました」
どう見ても、わかってなさそうな雰囲気で、リリがコクリと頷いてくれた。
そのまま西門から外に出て、昨日と同じ場所から、森の中に入っていく。
朝も早いから、森全体が清々しい。
「さてと、頑張って稼ぐか」
「はい! 精一杯、がんばります!!」
目を輝かせるリリの頭を優しく撫でて、まずは昼飯代からだな、と俺も大きく息を吸い込んだ。
いつの間にか深い眠りに落ちていた俺は、微睡む意識の中で、ぽんやりと目を開いた。
「……リリ?」
「はっ、はい! おはようございます!」
なぜか慌てた様子のリリが、深く頭を下げている。
大きな猫の耳と尻尾が、朝からペタンと倒れていた。
「眠れなかったのか?」
「いっ、いえ。久しぶりのベッドだったので、グッスリでした」
「そっか、それなら良かった」
「はい。ご主人様のおかげです」
なにが俺のお陰なのか分からないが、否定はしないでおこうと思う。
顔色は昨日と比べると良く見えるし、眠れたと言うのも嘘じゃなさそうだな。
「すぐに支度するから、リリも……」
そう言って彼女を見たが、腰まである長い黒髪や尻尾に乱れはなくて、服も綺麗に整っている。
「女の子の準備は時間がかかる、って聞いてたんだがな」
「あの、えっと、ご主人様をお待たせしたら、ダメですから……」
ほんのりと頬を赤らめたリリが、恥ずかしそうに顔を背けた。
つまりは、俺を待たせないために、早起きをしたのだろう。
彼女の心境を考えると理解は出来るけど、下手に無理をしても体に毒なだけだからな。
「リリは奴隷じゃなくて、仲間だって言ったろ? 先に起きていたのなら、起こしてくれれば良かったのに。暇だったんじゃないか?」
「いっ、いえ、私が早く起きてしまっただけですから」
「そうか?」
「はい」
まぁ、そのあたりは追々 慣れていけばいいか。
「わかったよ。ちょっと待っててな」
乱れないようにリリの髪を優しく撫でて、大きく伸びをする。
机の上に置いてあった透明な袋をズボンのポケットにねじ込んだ。
あとは武器があれば完璧なんだけど、ないのだから仕方がない。
「今日はどうする? 俺としては、薬草の採取でいいと思うんだけど」
「わかりました。私は、グリーンスライムですね?」
「……うん。よろしく」
「はい!」
危険だからスライムも俺が……、などと言いそうになったけど、どう考えても任せた方がいいな。
楽しそうに微笑むリリと一緒に部屋を出て、宿の延長を申請してから、南の門へと歩いていく。
「今日も頑張らなきゃですね」
「そうだな」
他の宿は知らないし、第4王女に貰った本の置き場もない。
だから今の宿を延長してー、って事になったけど、マジで金がやばい。
毎日3000ルネンの出費は、目眩がしそうだ。
でもまぁ、帰る場所があると思うと安心するし、服なんかも置けるからな。
俺はともかく、リリの服が1着しかないのはな。
今日も昨日と同じくらい稼げたら、古着でも買いに行くのもいいかも知れない。
もちろん、飯の確保が最優で!
「1日にして、浪費家になった気分だな……」
「?? ご主人様、何か言われましたか?」
「いや、何でもないよ」
普通に考えたら、今までがおかしかっただけで、必要最低限の投資だからな。
大きく息を吸い込んで、晴れ渡る空に目を向ける。
周囲には美味しそうな香りが漂っていて、朝食を売る露天が軒を揃えていた。
「リリ、なにか食べたいものはあるか?」
「え? 今日も買って頂けるんですか?」
「もちろん」
目を見開いたリリが周囲に視線を向けて、サンドイッチを売る店で尻尾をピンと立てた。
そして、なぜか首を横に振った彼女が、黒い小さなパンを売る店に手のひらを向ける。
「えっと、あれを……」
黒パンが1個 50ルネン。
サンドイッチは種類にもよるけど、200ルネン前後……。
「卵は嫌いじゃないよな?」
「え? あっ、はい。もちろんです、けど……? たまご、ですか??」
「了解」
嫌いな物があるなんて、金持ちだけの贅沢だからな。
不思議そうな顔をするリリを横目に、サンドイッチの店の前に立つ。
「おじさん、卵のヤツ、2つくれる?」
「あいよ」
なけなしの金と交換して、1つをリリに握らせた。
「ぇ……?」
「食べながら歩くぞ? 大丈夫か?」
「!! はっ、はい! ありがとうございます!」
手の中にある卵サンドを見詰めて、リリがごくりと喉を鳴らしていた。
はむっ、と小さな口で頬張って、耳と尻尾をピンと立ててる。
口元が、幸せそうにゆるんで見えた。
「おい、見ろよ。あの子、すげー可愛いくね?」
「おぉ、上玉だ! ……って、手首に奴隷印あんぞ」
「かー! なんだよ。隣の男の奴隷かよ」
「可愛い子を独り占めとか、金持ちくたばれ」
周囲からそんな声が聞こえてくるけど、それも仕方ない。
「変なのに絡まれる前に行こうか」
「へんなの、ですか……?」
不思議そうに周囲を見るリリの視線に当てられて、何人かがピクンと肩を震わせる。
「んー? わかりました」
どう見ても、わかってなさそうな雰囲気で、リリがコクリと頷いてくれた。
そのまま西門から外に出て、昨日と同じ場所から、森の中に入っていく。
朝も早いから、森全体が清々しい。
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