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1章 ハブたる郁羊
4話
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ひと狩り行くに当たり、俺と郁羊は作戦会議をした。
話し合い、熟考を重ねて「笹を本能的に昂らせたのち、彼女のしまパンを狩り取る」計画を一応、ひとまず整えた。
うまくいく自信はない。だがもう、これ以上は思いつかない。
やるしかない。やらねば、殺られる。殺られるなら、やらねば。
「狩りにいく前は、これ塗っといてね」
郁羊は懐から小瓶を取り出した。粘ついた青紫色の、禍々しい液体が入っている。
「なに、それ?」
「これはトンジャモスっていってね。トンジャリンの根から抽出した液体とゲラモッスの胆汁を混ぜて、ギュッティーナ菌で発酵させた媚薬だよ」
うーん、なに言ってるかさっぱりわからん。
ただ、媚薬ということはわかった。
「媚薬っていうと、つまり……」
「そう、このトンジャモスはね、人間を興奮させる効果があるわけ。ほら『猫にマタタビ、人トンジャモス』ってことわざもあるやっし」
ほら、と言われても聞き覚えがない。まず「トンジャモス」自体が初耳である。
「ホントに効果はあるのか」
「まあ、人によりけりだけど。人間がつくるような媚薬に比べれば絶大だね」
彼女は小瓶から液体を手に垂らし馴染ませると「ではでは」と言いながら俺の首筋に塗り始めた。
予想外にひんやり冷たくて俺は「うひっ」と変な声を出してしまう。
「くくくっ」と悪戯っぽく笑いながら郁羊は、なぜか楽しげだ。
耳周りも優しくねっとりと、指の腹でやけに艶かしく撫でながら、薬を塗り込んでいく。「この辺もしっかり塗ろうね」と顔も近づけてくるので、耳たぶに息遣いまで伝わってくる。
女慣れしてないので妖怪とはいえ、やけにドキマギしてしまう。
「うんっ、こんな感じかな」
とうなじまで染み込ませると、郁羊は手を離した。
なんだか触られるのが、彼女の手の温もりが心地よくて、名残惜しささえあった。
「なんでボーっとしてるの。口半開きだよ」
「えっ、あ、いや……。なんだろう、媚薬が効いたのかな」
ゾクゾクする感じが気持ち良くて、もうちょい撫でて欲しかった、なんて口にできない。
これがエンドレス童貞の実態である。
「媚薬が効いた? このトンジャモスは女用だから、萩斗には効かんはずよ。ほら『ヒト科メス用』って書いてあるでしょ」
「ああ……そう」
「ただ、萩斗の体から漂う薬の成分で、女のスイッチはオンになるはずだからさ」
「女のスイッチ?」
「大体わかるでしょ。火照っちゃうわけさ。さあ、事前準備は整ったよ。獲物の動向を追いかけに、行くよっ」
話し合い、熟考を重ねて「笹を本能的に昂らせたのち、彼女のしまパンを狩り取る」計画を一応、ひとまず整えた。
うまくいく自信はない。だがもう、これ以上は思いつかない。
やるしかない。やらねば、殺られる。殺られるなら、やらねば。
「狩りにいく前は、これ塗っといてね」
郁羊は懐から小瓶を取り出した。粘ついた青紫色の、禍々しい液体が入っている。
「なに、それ?」
「これはトンジャモスっていってね。トンジャリンの根から抽出した液体とゲラモッスの胆汁を混ぜて、ギュッティーナ菌で発酵させた媚薬だよ」
うーん、なに言ってるかさっぱりわからん。
ただ、媚薬ということはわかった。
「媚薬っていうと、つまり……」
「そう、このトンジャモスはね、人間を興奮させる効果があるわけ。ほら『猫にマタタビ、人トンジャモス』ってことわざもあるやっし」
ほら、と言われても聞き覚えがない。まず「トンジャモス」自体が初耳である。
「ホントに効果はあるのか」
「まあ、人によりけりだけど。人間がつくるような媚薬に比べれば絶大だね」
彼女は小瓶から液体を手に垂らし馴染ませると「ではでは」と言いながら俺の首筋に塗り始めた。
予想外にひんやり冷たくて俺は「うひっ」と変な声を出してしまう。
「くくくっ」と悪戯っぽく笑いながら郁羊は、なぜか楽しげだ。
耳周りも優しくねっとりと、指の腹でやけに艶かしく撫でながら、薬を塗り込んでいく。「この辺もしっかり塗ろうね」と顔も近づけてくるので、耳たぶに息遣いまで伝わってくる。
女慣れしてないので妖怪とはいえ、やけにドキマギしてしまう。
「うんっ、こんな感じかな」
とうなじまで染み込ませると、郁羊は手を離した。
なんだか触られるのが、彼女の手の温もりが心地よくて、名残惜しささえあった。
「なんでボーっとしてるの。口半開きだよ」
「えっ、あ、いや……。なんだろう、媚薬が効いたのかな」
ゾクゾクする感じが気持ち良くて、もうちょい撫でて欲しかった、なんて口にできない。
これがエンドレス童貞の実態である。
「媚薬が効いた? このトンジャモスは女用だから、萩斗には効かんはずよ。ほら『ヒト科メス用』って書いてあるでしょ」
「ああ……そう」
「ただ、萩斗の体から漂う薬の成分で、女のスイッチはオンになるはずだからさ」
「女のスイッチ?」
「大体わかるでしょ。火照っちゃうわけさ。さあ、事前準備は整ったよ。獲物の動向を追いかけに、行くよっ」
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