辿り着けない世界

和之

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交渉1

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 注文の品が来るまで和久井から、此の前見せた茶碗の売り込み状況を訊かれた。それはこれからの君の取り組み方に掛かってる。これには不満らしい。成功の鍵を握っている坂部に今までの経過を言ってやれと頼むと、和久井は躊躇したが観念したように頷いた。そこに次々と注文のパフェがテーブルに並びだし、いっとき休戦状態になった。クーラーの効いたファミレスで珈琲とアップルパイを食べながらどう展開するか気を揉んでる。
 先ずは和久井が真由さんと関わった経緯を改めて坂部が訊ねた。真由は和久井の反応をチラッと見て、差し障りがないと見た。
 妹の由香に「お姉ちゃん確か典子さんって謂う友達がいたねぇ」と言われたのが始まりだ。何の話かと妹に詰め寄ると、小石川希実と謂う高校の同級生から典子さんについて尋ねられた。どうやらその人とはそんなに親しい間柄じゃなかったが、断り切れない腐れ縁なんでしょう。此処で和久井が嫌な反応したが、丁度メロンを頬張って食い意地が勝ってそれどころじゃない。
「それが典子さんを紹介してほしい依頼ですか」
 と坂部は頷く典子さんを見て、それが承諾のように続きを話し出した。
 典子さんを紹介する時に、希実ちゃんと妹の由香は今、隣に居るこの人を連れて来て妹の友達の友達と言われた。その時は何とも想わなかったんですが、紹介が終わるとそこは典子さんと此の人との独壇場でした。此の人は典子さんだけを目当てにやって来た人だとその時に判った。
「そうですか」
 と坂部は当人の和久井に聞いてみた。すると彼女はそうだとアッサリと白状した。
「何で典子さんなんだ」
「だってあの家の人はみんな何かおかしな気がして、此の人が一番真面に見えたから」
 和久井が言うのももっともだ。





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