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転機が来るか6
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「良いよなあ二人は、高村と俺はもう十分に駅からとぼとぼと歩いて帰ったんだ」
「電話すれば良いでしょう」
「着いた駅から電話したけど、千里さんに出掛けて留守だと言われた。行き先ぐらい言っとけよ」
「もう二人とも、そんなことでいつまで油を売っているのよ。そろそろ義父と主人を会社へ送った大場さんが帰って来るわよ」
せっかく点検したのに、大場さんをがっかりさせないように、と追い立てられた。そこで二人は眼合わせをして出た。
「本当に車の中で十分に話せたの」
「でも真由ちゃんとは前から余り話すことはなかったの。ただ一緒に居るだけで和んでくるから」
「わあー、まるで恋人同士ね」
「へえ~、恋人って。何も言わないでいつも一緒に居るだけなの」
「そんなことないけど、まあ色々あるけれどね」
色々か~、と、急に克之さんについて訊ねられてドキッとした。なんせ克之とは見合いのようなものだ。義祖父の利恒さんに、ホテルのディナーに誘われて、そこでおじいさんの隣に座っている孫を紹介された。それが切っ掛けだった。
「その時はあたしもまさかお嫁さん候補とは思ってなかって、いつものように面白おかしく喋っていたらすんなり気に入られてしまったの」
克之は堅苦しい人は性に合わないから、見合いは絶対にしないの。それであの人には良かったみたい。
「上手く引き合わせられたのね」
「あたしも克之も、おじいちゃんに騙されたのよ。ホテルのディナーショーを楽しむだけだと思っていたから……」
「でも席は三人分用意してあったんでしょう」
「それなの、克之の話だとおじいちゃんの昔の恋人が来る予定だと聞かされたらしいの」
つまりおばあちゃんの逢い引きに付き合わされて、主人はヤレヤレと思うまもなくあたしが来た。あたしもそうだけれど二人とも吃驚《びっくり》した。千里さんはそんな二人のなり染めを典子さんに披露した。
「電話すれば良いでしょう」
「着いた駅から電話したけど、千里さんに出掛けて留守だと言われた。行き先ぐらい言っとけよ」
「もう二人とも、そんなことでいつまで油を売っているのよ。そろそろ義父と主人を会社へ送った大場さんが帰って来るわよ」
せっかく点検したのに、大場さんをがっかりさせないように、と追い立てられた。そこで二人は眼合わせをして出た。
「本当に車の中で十分に話せたの」
「でも真由ちゃんとは前から余り話すことはなかったの。ただ一緒に居るだけで和んでくるから」
「わあー、まるで恋人同士ね」
「へえ~、恋人って。何も言わないでいつも一緒に居るだけなの」
「そんなことないけど、まあ色々あるけれどね」
色々か~、と、急に克之さんについて訊ねられてドキッとした。なんせ克之とは見合いのようなものだ。義祖父の利恒さんに、ホテルのディナーに誘われて、そこでおじいさんの隣に座っている孫を紹介された。それが切っ掛けだった。
「その時はあたしもまさかお嫁さん候補とは思ってなかって、いつものように面白おかしく喋っていたらすんなり気に入られてしまったの」
克之は堅苦しい人は性に合わないから、見合いは絶対にしないの。それであの人には良かったみたい。
「上手く引き合わせられたのね」
「あたしも克之も、おじいちゃんに騙されたのよ。ホテルのディナーショーを楽しむだけだと思っていたから……」
「でも席は三人分用意してあったんでしょう」
「それなの、克之の話だとおじいちゃんの昔の恋人が来る予定だと聞かされたらしいの」
つまりおばあちゃんの逢い引きに付き合わされて、主人はヤレヤレと思うまもなくあたしが来た。あたしもそうだけれど二人とも吃驚《びっくり》した。千里さんはそんな二人のなり染めを典子さんに披露した。
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