自殺したがりの青年は異世界に転生させられた

白猫

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第一章 死にたがりの青年

勝手に転生させられた

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俺はブラック企業に働いている、ごく普通のサラリーマンだ。そして、死にたがりだ。
今からでも死にたくて仕方がない。
「おい!沖田ぁー!あの書類今日中に提出しろって何度言ったら分かるんだァ!」
「は、はい!すみません!今すぐ持ってきます!」
「先輩!これお願いします!今日中になんで!」
「は!?なんで!俺が!」
「先輩しか居ないんです!お願いします!」
「沖田、これ頼む!」
「これも!」
「これの書類も!」
次々に出てくる追加の仕事。そして今日も残業ときた。他の奴らは早く帰りたくて仕方なく全部俺に回ってくる。嗚呼、死にたい。普通の人ならこんな時は辞めたいと思うだろう…。でも俺の場合はこの仕事しかもうない。今更辞めたら、もう次に就職できる確率は無いに等しい。だから、死にたい。
「沖田、次これやっといてくれ」
「え!そ、それは部長の仕事じゃ」
「あ?文句言いてえのか?」
「っ!……い、いえ。分かりました」
(こういうのをパワハラって言うのかな……)
いい加減、こんな地獄から解放されたい……。
そんな時だ。俺が自分の席に戻ろうとした時私服の女性が一人現れた。とても可愛かった。
俺は声をかける。
「あ、あの。こちらに何か御用でも……」
「秋彦!」
「え?」
秋彦……俺の後輩の一人の名前だった。
この雑音の中、自分の名前を呼ばれたような気がしたのだろう、秋彦は直ぐに声がした方に顔を向ける。その顔は隈ができていた。
「え?紀香?なんで…もう、別れたってきっちり」
「っ!私は認めないわ!」
彼女は持っていたカバンから刃物を出し秋彦のところへと突進した。俺はビックリしたが無意識のうちに体が動き……そして……
「キャーっ!!!」
オフィス中に女性の悲鳴が鳴り響く。
うるさい……。ていうか、腹痛い……熱い。
足に力が入らなく俺は倒れた。
「せ、先輩!!」
秋彦の顔が見えた。その顔は泣きそうだ。
俺は自分がどんな状況なのか直ぐに分かった。俺は、後輩を助けてしまった。後輩の代わりに俺が死んだ。
(……あぁ、俺死ぬのか…………やっと死ねる。この地獄のような日々から解放される。)
俺は怖いとも思わなかった。むしろ、喜んだ。ずっと死ぬことが出来ずにいたから…
「早く!救急車を!!」
いや、救急車呼ばなくていいよ。もういい加減疲れたから。
俺はゆっくりと目を閉じた。




『……い、起きろ小僧』
声がする。俺は目を開けた。目を開けると……
「…ここが天国なんだ」
『違うわい。ここは、まだ天国に行く途中の宇宙じゃい』
宇宙だった。そして、俺の目の前にはおじいさんが一人いた。
「…あの、どちら様でしょうか」
『わしか?わしは神じゃよ』
どうやら、神様らしい。というか、神様が何故、こんな俺と喋ってんだろうか。そもそも、今から俺は天国に行くのではないんじゃないのか?
「神様が俺になんの用でしょうか?」
『あー、コホン。今からお主はわしの地球に転生してもらう』
「…は?」
よく聞き取れなかった。今、なんかすっごい嫌なことを言われた気がする。
『なんかお主は勿体ない生き方をしていたので可哀想だからわしの地球、Land of white wings(蒼の白き翼の地)に転生してもらう』
今度はハッキリと聞こえた。どうやら俺は転生するらしい…そして、さりげなく神様に同情された。というか、地球に名前なんてあるんだ。
その時の俺はまぁ、別にいいかなと思った。その後の言葉を聞くまでは…
『あ、前世の記憶持ち、な設定じゃよ?』
「…え」
『それじゃ、そういう事だから!』
「ちょ!まっ!俺は」
『嫌だと言っても問答無用で転生してもらうからなぁ』
ニコニコ笑いながら神様は俺の話を聞かずにそういった。前世の記憶持ちということは俺は前世となんも変わらないという事だ。そんなの嫌だ。俺は変わりたい。前世の記憶がなく、違う自分に。
『あ、あと。わしの地球は魔法とか魔物とか王様とかそう言うのあるからな。君がいた世界にある、ふぁんたじー?って言うやつみたいな』
「で、でも!俺は!」
神様は俺の胸に手を置き何かを唱えた。
『これは私から君への加護?みたいなものをあげるよ。他の神様達もそっちの世界で過ごしてたらいつか君へあげるかもしれないよ。ちなみに私は風の加護ね』
次々と俺の返事を聞かずに説明する神様。ふざけんなよ。俺は生きたくないのに!この気持ちのまま、また、地球で生きていくのかよ!
「…?……あれ!?俺の体の下半身が泡のように!」
下を見ると俺の体はもう半分が無くなっていた。いや、半分もない。
『む。もう時間切れかぁ。それじゃ、そっちの世界で楽しく生きろよ~』
「ふざっ!」
俺が最後に神様を見た時、神様は悪戯っ子のような顔をしていた。
絶対になにか企んでる!!





二度目の目覚まし。そこは青くて綺麗な空だった。
(あれ?普通は家じゃないの?)
前世の記憶で漫画やアニメだったら、転生して目を開くとそこは知らない天井、って流れになるはずだけど…
「…あら?トトちゃん起きちゃいました?」
目の前に女の人の顔が現れた。美人だ。多分だか、この人が俺の母親だろう。
「おぉ、トトおはよう。今日はピクニックだぞ?」
なるほど。だから外だったのか。納得だ。というかこの人、イケメンだ。多分この人が父親だろう。
そして、服装からして村人か…。じゃぁ、俺も村人と言わけか。最弱組かぁ。
というか、俺の名前は『トト』か。なんか、カッコよくない。まぁ、いいか。村人でどうせ目立たないモブになるし。
「はい、あーん。美味しい?」
(この世界でもサンドイッチってあるんだな……美味い…)
「あぶー!!」
言葉も言えない。あぶーといった自分が恥ずかしい。


さて、俺はこれからどう生きていこうか……そもそも、生きていけるのか?
あの神様が言うには魔物とかモンスターとかいるんだろ?めっちゃ危険じゃん!
嗚呼、モンスターに食われるなら今すぐ死にたいよ…。

その頃の神様…
『せいぜい頑張れよ♪*゚ニシシシシっ!』
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