赤頭巾ちゃん

mare

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5 おばあちゃんのお家に着きました

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真っ赤になった腕。
ただ、涙だけが流れる。
もう、謝る事もやめた。

怖いよ。オオカミさん……
なんとなく、もう、会えない気がする。

おじさんの足がピタリと止まる。
でも、腕は掴んだまま。

顔を上げると、おばあちゃんのお家だった。
……やっと、着いた。
この意味のわからない恐怖から開放されると思いホッとしてしまう。

トントン

村の人がドアをノックすると静かにあいた。

「やっと来たね。早くお入り。」

おばあちゃんの声だ!

「…お…ばあちゃ……」

掠れた声しか出ない。

「赤頭巾、来たね。あら、涙で顔がぐちゃぐちゃじゃない。」

いつもの優しいおばあちゃんだ。
おばあちゃんがおじさんに手だけで離れるように合図した。

「お、おばぁ……ちゃん、…ごめ…んな……さい……」

ホッとして涙が溢れてくる。

「ほらっ、顔を拭きなさい。」
「おばあちゃん」

涙でぐしよぐしょの顔を優しく拭いてくれた。

「さぁ!こちらの準備はもう終わるから後は、赤頭巾!次はお前の準備よ」

奥の部屋から、お母さんが出てきた。

「お母さん…?」
「おいで。赤頭巾」

手招きされ、奥の部屋に招かれる。
お母さんは、遅れた事や寄り道した事に何も触れない。

「お母さん?怒ってないの?」
返事はなく、ニッコリ微笑みを返してくれるがどこかいつもの笑い方と違う気がして不安になる。

「ここに座りなさい。それからこれも飲んで。」

と水の入ったコップを渡され喉が乾いていたせいもあり一気に飲み干す。

「少しここで休んでなさい。準備があるから大人しくしてるのよ」

そう言い残し、部屋から出ていくのと入れ替わり1人がドアの前で立つ。
誰かは分からない。頭から黒い布を被り全身覆われている。目も口も隠れていて網上になっている所がある事でこちらを向いているのが分かる。多分、背が高いから男の人だなのだろう。

蝋燭の灯が入ってきた時より半分なくなっていた。

あれ?……服こんなのきてた?
いつの間にか白い生地の薄いノースリーブのワンピースを着ていた。
なんだか、考えるのが億劫だ。

そして、時間だけがただ過ぎる。
なんだろ?頭がぼぉっとしてきた。

誰かが近づいてくる。

「もう、良さそうね」
「…お、かぁさん?」

いつの間にかドアに頭から布のかけた格好の人が増えている。

その中の1人からお母さんの声がする。

「ふふっ。さぁ、赤頭巾…行きましょう」

目の前で声がしているはずなのに遠くに聞こえる。
手を差し伸べられ、何故か震える手を添えた。

ゆっくりと手を引かれ壁の前と立たされると、壁だど思っていた所がドアのように開き、薄暗くどこまで続いているのか分からない廊下が現れる。

むせ返りそうなぐらい甘い匂いがする。
奥の方から手招きされているように感じる。
ふらふらと吸い寄せられるように歩く。
あぁ、行かないと…
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