赤頭巾ちゃん

mare

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 目を開くと薄暗い部屋に月明かりが差し込んでいた。横を見るといるはずの姿がなく今までの事が全て夢だったかのような寂しさに襲われる。
 
 オオカミさんがいたはずのシーツにそっと触れると温もりが少し残っていた。そこに顔を近づけると彼の香りが残っていて胸が締め付けられた。胸いっぱいに香りを吸い込みシーツに寂しさを紛らわすように顔を擦り付ける。


「……何してるの?」

 クスリと笑いながら声が上からかかった。振り返れば髪の濡れたオオカミさんが上半身裸で立っていた。

 髪から水滴が滴り、鍛えられた身体が月に照らされた姿はぞくっとするほど艶かしくて目が離せない。頬が紅く染まり心臓がドキドキと脈打つ。それを知っているのか知らないのか、ベッドに腰掛け私を見つめながら髪を愛おしげに梳かす。

 その手が気持ちよくて先程までの寂しさが消え幸福感で満たされていく。

 少し離れただけでこんなにも……。どうしよう。もう、オオカミさんがいないと私はダメなんじゃないだろうか?

「寂しかった?」

 恥ずかしけれど素直に頷いてしまう。嬉しそうに微笑むオオカミさんに擦り寄る。


「私、オオカミさんに出逢えて良かった……。本当に幸せよ」

 横になったままでオオカミさんの腰に手を廻し抱きしめる。このまま穏やかな時を過ごしていたいと願ってしまう。

「明後日にここを発つから、準備しておいて……」

 何か考えているのか少し止まりまた、話し出す。

「それで向こうに着いたら、結婚式をしよう」

 結婚式?それって…。オオカミさんと夫婦になるって言うこと?……いいの?

「本当は、もっとちゃんとしてからプロポーズしたかったんだけど…。赤頭巾が嬉しいこと言ってくれるから我慢出来なくて……」

 照れながら、立ち上がり何かを持ってベッドへ戻ってきた。

 そして、そっと起こされオオカミさんは跪く。

「赤頭巾……。僕と結婚して下さい。」

 私の左手を取り薬指にはめられたのは銀色に光る指輪だった。

 一緒に行こうとは言ってもらえてこうしてオオカミさんと触れ合えて……。それだけで幸せだと思えた。だからそれ以上は望んではいけないことだと……。考えてはいけないことだと思っていた。

 また、こんな事を思っていたと言えばオオカミさんに怒られるかもしれないけど……。

 望んでしまうと今の幸せまで消えてしまいそうで怖かった。

 涙が溢れ、頬を伝う。

「赤頭巾? いや、だった……?」

 声にならず、首を横に振る。嫌だとかそんな事ある訳が無い。

 嬉しさと幸福感で押し潰されてしまいそう。

 ベッドの横ではあたふたと慌てるオオカミさん。その姿が愛おしくて泣き笑いの顔になってしまう。幸せ過ぎてこんなに胸が張り裂けそうだ。

「いやなんてそんな事思うわけない……!嬉し過ぎて、幸せ過ぎて……もう、おかしくなりそう」

 息が止まりるぐらいに抱きしめられ猫が戯れるみたいにあちこちに口付けられる。

「オオカミさん……。くすぐったい」

 そう言いつつも止めてほしくない。オオカミさんも分かっているのか口付けを止めようとはしない。

「ねぇ、子供は何人欲しい?赤頭巾に似た女の子も可愛いし、男の子も欲しいね」

 肩に顔を乗せ照れた顔を隠すように埋める。

「オオカミさん、気が早い」

 そう言いながらも、オオカミさんに似た子供達に囲まれ過ごす日常を想像してしまう。

「オオカミさんがいて、子供達がいて……。」  

 言葉にするだけで目の前にその光景が浮かぶ。


「誓うよ。どんな事があっても赤頭巾と共に生きていく。一緒に幸せになろう」


「はい……。私も誓います。オオカミさんと共にずっと生きていく。……愛してる」


「赤頭巾……」 

 
 触れるだけの口付けそれだけでも胸の膨れるような心地よさを感じる。指と指を絡め見つめ合い微笑む。


 今日という幸福な日が永遠に続きますようにと、願わずにはいられない




❦ℯꫛᎴ❧



ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。
気に入ってもらえるようなシーンとかあったんでしょうか?気になってますw

たまに番外編?お話更新する予定です。
また、読んで頂けるように精進致します(`-ω-´)✧

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