52 / 88
幕間劇その参
保健委員の目的
しおりを挟む
「それで、萌菜先輩、どっから聞き込みに行きますか?」
体育館を出たところで俺は萌菜先輩に尋ねた。
「コルクボードを運んだのだとしたら、校舎にだろう。体育館の出口から校舎に行くまでのルートに沿って聞くのが妥当じゃないか」
と萌菜先輩は答える。
「なるほど。ではサッカー部員が何か見ているかもしれませんね」
雄清がそういう。
「そうだな。聞きに行こう」
そうして、俺たち五人はサッカー部が練習しているところへと向かった。
結局のところ、サッカー部に話を聞いても、何も情報を得られず、その後も三十分ほど聞き込みをしたのだが、どの生徒に尋ねてもみな「コルクボードを持った人など見てはいない」というばかりで、特に情報は得られなかった。
調査に行き詰まりを感じ途方に暮れていたところ、綿貫に出くわした。
「深山さんに、山本さん、それに萌菜さん、皆さんお揃いで、どうしたんですか? あと、後ろのお二方はどちらさまです?」
綿貫が尋ね、萌菜先輩がそれに答える。
「やあ、さやか。ちょっと人探しをしていてね。こちらは、演劇部員で、執行委員でもある、道家《どうけ》陽菜だ。それでこっちはバスケ部のマネージャーの……」
名字は道家というのか。そういえば聞いていなかった。マネージャーの名前は萌菜先輩も知らないらしくそこで詰まってしまったが、
「文田博美です」
とマネージャーさんが自分で言う。
「綿貫さやかです」
綿貫がご丁寧に自己紹介をする。そして、
「それで、人探しというのは、いったいどなたを探しているのですか?」
と尋ねる。
「四時ごろにコルクボードを運んでいた人を探している。一応聞くが、見なかったか?」
「見ましたよ」
「そうか、……えっ」
萌菜先輩は綿貫が見ていたと思っていなかったようで、大変驚いたようだった。
「四時頃にコルクボードを運んでいた人ですよね。見ました」
「どっちに行ったか分かるか?」
俺はすかさず尋ねる。
「えっと、私が東階段を降り終わったところですれ違ったので、保健室に行かれたんだと思います」
「ほかに何か、なかったか?時間を聞かれたとか」
俺は続けて尋ねる。
「ええ、確かに時間を聞かれました。深山さんどうしてわかったんですか?」
「いや、その人が時間を気にしていたらしかったのを聞いていたからな。ちなみに何時だった?」
「えっと、三時五十五分だったと思います。確認もされましたから」
「そうか」
綿貫は俺たちが単に人探しをしているわけではないことをもう見抜いているだろう。萌菜先輩がいて、知り合いではいない人間も二人混じっての、人探しだ。並々ならぬ雰囲気をすぐに察知できたと思う。それに俺たちの付き合いはまだ一年にも満たないが、俺が単なる人探しなんぞに手を貸すような人間ではないことは綿貫も知っているはずだ。さすれば何をやっているのか、興味を持つかもと思ったのだが、
「では、私はこれで」
といったので俺は少し意外に思った。
「何か用事があるのか?」
「校誌の山岳部のページをどういう風にするか、留奈さんと相談することになっていますので。時間があれば深山さんや萌菜さんのお手伝いをするんですけど」
校誌というのは、年度末に毎年一冊作られる、学校の一年の活動記録を記したものだ。部活の大会成績や、進学実績などが載せられる。確か、正式名称は、「校誌 かみのみや」だったか。
「そういえば、もうそろそろ考えなきゃだね。僕もこっちが片付いたら様子を見に行くよ。ごめんね綿貫さん。任せきりにしていて」
と雄清が言った。
「いえいえ、山本さんは委員会が忙しいですから。……でも、もし、面白いことがあったら教えてくださいね」
「はは、綿貫さん鼻が鋭いね。まあ、面白いことになるかどうかは分からないけど、太郎なら今取り組んでる問題ごとを解決してくれると思うよ」
おい、何勝手なことを言っているんだ、お前は。
「それは楽しみです。深山さん期待していますよ。ではまた」
そう言って、綿貫は行ってしまった。
萌菜先輩がにやにやしながら、
「だいぶ期待されているんだな君は」
とからかうような口調で言う。
「ほっといてくださいよ」
俺は口をとがらせて言い返した。
そんな俺たちのやり取りを見ていた、二人の女子生徒はぽかんとしているばかりだった。
「そんなことより早くその綿貫……、いや、さやかさんが見たっていう人のところへ行きましょうよ」
「そうだな」
俺たち五人はそうして、保健室へと向かった。
保健室の戸を開けると、一人の女子生徒が部屋の中央付近にある机に添えられた椅子に座っていた。上靴の色から、二年生であることがわかる。
萌菜先輩がバスケ部のマネージャーに確認する。
「文田さんが見たっていうのはこの人?」
「はいそうです」
その女子生徒は俺たちが入ってきたのを見て訝しがるような顔をする。
「あなたたち何の用ですか? 体調不良者でも?」
「いや、違う。委員会の仕事の最中だと思うが少し話を聞かせて欲しいんだ」
「えーっと、あなたは執行部の綿貫さんよね?」
さすが萌菜先輩は有名人である。
「そうだ」
「話って何?」
その女子生徒は話を促す。
「今日の夕方、演劇部のある部員の鞄が紛失した。鞄が今どこにあるのかも、犯人が誰なのかもわかっていない」
「物騒な話ね」
「いかにも。それで、犯行時刻前後に、現場に出入りしていた人物が見かけられている。コルクボードを上手袖から運び出していたという人よ。それはあなたで間違いない?」
「確かに、上手袖からコルクボードを運び出したわ。そこにおいてあるそれよ。保険便りを張り付けるのに使うの」
その女子生徒が指差すところには確かにコルクボードが置いてあった。
「なるほど。まだ名前を聞いていなかったけど、教えてもらってもよろしいかしら?」
「岡村真美。保健委員よ」
萌菜先輩は岡村に質問を投げかける。
「岡村さん、上手袖に入ったとき、怪しそうな人とか見ていない?」
「見てないわよ」
「ピンクの鞄があったのは知っている?」
「さあ、人の鞄なんて注意してみないから」
「そう、ありがとう。また何かあったら聞きに来るわね」
「あっ、すみません。俺からもいいですか?……えっと、深山と言います」
「どうぞ」
「四時ごろに何か用事があったかと思うんですけど、無事に済みましたか?」
「なんの話?意味わかんないんだけど」
岡村は少しイラついたように言う。
「あっ、いえ、すみません。俺の勘違いです。では失礼します」
周りの人間は不思議そうな顔で俺の事を見ていたが、俺が保健室を後にしたので、一緒に出てきた。
「深山君何か気づいたことはあるか?」
歩きながら、萌菜先輩が俺に尋ねる。
「疑問に思ったのは、岡村が何に焦っていたのかということです」
「……さっきも何かを確かめていたが、……彼女は焦っていたか?」
萌菜先輩は怪訝そうな顔をした。
「少なくとも話の中では焦っていたと思います」
「よくわからないんだが」
「岡村は時間を気にしていました。上手袖から出てきたときに、文田さんに時間を尋ね、そして校舎ですれ違ったさやかさんにも時間を尋ねていた。何か用事があって焦っていたと考えるのが妥当です。しかし、さっき見たところ岡村はのんびりした様子だった。もう用事を済ませたということなのかもしれませんが」
「なるほど。ほかにはないか?」
「岡村の事とは直接の関係はありませんが、鞄の出入りした経路についてです。さっき言ったように鞄は窓から出入りしたのでしょう。問題は鍵が閉まっていたということです。すると犯人は鞄を窓から持ち出し、自分だけがまた窓から戻ってきたということになる。では鞄はどこへと消えたんだ?」
「太郎、それは簡単じゃないか。体育館を回って、表に出て、校舎内とかに持って行ったんだよ」
雄清がどうだと言わんばかりに胸を張る.
「それは無理だ」
「どうして?」
「犯人は普通目立つことをしたがらない。でっかいピンク色の鞄を持って人目につくところを歩きたがるとは正直思えんな。演劇部員に目撃される可能性もある」
「そうかなあ」
「それにだ。体育館の横の地面は日陰になっているために地面が柔らかいんだ」
「というと?」
「そんなところを歩けば、足跡が残るが、さっき見た時、俺たち以外の足跡は見受けられなかった。それに上履きに泥が付くことも避けられないだろう。しかし、上手袖には泥のついた上履きで歩いたような跡もなかった」
「ほう、さすが太郎だ。よく気付くね」
「それで、萌菜先輩もう一度体育館裏を見たいんですが」
「いいぞ。二人は返してもいいよな」
萌菜先輩は、バスケ部の文田と、道家を示して言う。
「ええ」
二人は体育館へと戻っていった。
「じゃあ行こうか」
「はい」
体育館を出たところで俺は萌菜先輩に尋ねた。
「コルクボードを運んだのだとしたら、校舎にだろう。体育館の出口から校舎に行くまでのルートに沿って聞くのが妥当じゃないか」
と萌菜先輩は答える。
「なるほど。ではサッカー部員が何か見ているかもしれませんね」
雄清がそういう。
「そうだな。聞きに行こう」
そうして、俺たち五人はサッカー部が練習しているところへと向かった。
結局のところ、サッカー部に話を聞いても、何も情報を得られず、その後も三十分ほど聞き込みをしたのだが、どの生徒に尋ねてもみな「コルクボードを持った人など見てはいない」というばかりで、特に情報は得られなかった。
調査に行き詰まりを感じ途方に暮れていたところ、綿貫に出くわした。
「深山さんに、山本さん、それに萌菜さん、皆さんお揃いで、どうしたんですか? あと、後ろのお二方はどちらさまです?」
綿貫が尋ね、萌菜先輩がそれに答える。
「やあ、さやか。ちょっと人探しをしていてね。こちらは、演劇部員で、執行委員でもある、道家《どうけ》陽菜だ。それでこっちはバスケ部のマネージャーの……」
名字は道家というのか。そういえば聞いていなかった。マネージャーの名前は萌菜先輩も知らないらしくそこで詰まってしまったが、
「文田博美です」
とマネージャーさんが自分で言う。
「綿貫さやかです」
綿貫がご丁寧に自己紹介をする。そして、
「それで、人探しというのは、いったいどなたを探しているのですか?」
と尋ねる。
「四時ごろにコルクボードを運んでいた人を探している。一応聞くが、見なかったか?」
「見ましたよ」
「そうか、……えっ」
萌菜先輩は綿貫が見ていたと思っていなかったようで、大変驚いたようだった。
「四時頃にコルクボードを運んでいた人ですよね。見ました」
「どっちに行ったか分かるか?」
俺はすかさず尋ねる。
「えっと、私が東階段を降り終わったところですれ違ったので、保健室に行かれたんだと思います」
「ほかに何か、なかったか?時間を聞かれたとか」
俺は続けて尋ねる。
「ええ、確かに時間を聞かれました。深山さんどうしてわかったんですか?」
「いや、その人が時間を気にしていたらしかったのを聞いていたからな。ちなみに何時だった?」
「えっと、三時五十五分だったと思います。確認もされましたから」
「そうか」
綿貫は俺たちが単に人探しをしているわけではないことをもう見抜いているだろう。萌菜先輩がいて、知り合いではいない人間も二人混じっての、人探しだ。並々ならぬ雰囲気をすぐに察知できたと思う。それに俺たちの付き合いはまだ一年にも満たないが、俺が単なる人探しなんぞに手を貸すような人間ではないことは綿貫も知っているはずだ。さすれば何をやっているのか、興味を持つかもと思ったのだが、
「では、私はこれで」
といったので俺は少し意外に思った。
「何か用事があるのか?」
「校誌の山岳部のページをどういう風にするか、留奈さんと相談することになっていますので。時間があれば深山さんや萌菜さんのお手伝いをするんですけど」
校誌というのは、年度末に毎年一冊作られる、学校の一年の活動記録を記したものだ。部活の大会成績や、進学実績などが載せられる。確か、正式名称は、「校誌 かみのみや」だったか。
「そういえば、もうそろそろ考えなきゃだね。僕もこっちが片付いたら様子を見に行くよ。ごめんね綿貫さん。任せきりにしていて」
と雄清が言った。
「いえいえ、山本さんは委員会が忙しいですから。……でも、もし、面白いことがあったら教えてくださいね」
「はは、綿貫さん鼻が鋭いね。まあ、面白いことになるかどうかは分からないけど、太郎なら今取り組んでる問題ごとを解決してくれると思うよ」
おい、何勝手なことを言っているんだ、お前は。
「それは楽しみです。深山さん期待していますよ。ではまた」
そう言って、綿貫は行ってしまった。
萌菜先輩がにやにやしながら、
「だいぶ期待されているんだな君は」
とからかうような口調で言う。
「ほっといてくださいよ」
俺は口をとがらせて言い返した。
そんな俺たちのやり取りを見ていた、二人の女子生徒はぽかんとしているばかりだった。
「そんなことより早くその綿貫……、いや、さやかさんが見たっていう人のところへ行きましょうよ」
「そうだな」
俺たち五人はそうして、保健室へと向かった。
保健室の戸を開けると、一人の女子生徒が部屋の中央付近にある机に添えられた椅子に座っていた。上靴の色から、二年生であることがわかる。
萌菜先輩がバスケ部のマネージャーに確認する。
「文田さんが見たっていうのはこの人?」
「はいそうです」
その女子生徒は俺たちが入ってきたのを見て訝しがるような顔をする。
「あなたたち何の用ですか? 体調不良者でも?」
「いや、違う。委員会の仕事の最中だと思うが少し話を聞かせて欲しいんだ」
「えーっと、あなたは執行部の綿貫さんよね?」
さすが萌菜先輩は有名人である。
「そうだ」
「話って何?」
その女子生徒は話を促す。
「今日の夕方、演劇部のある部員の鞄が紛失した。鞄が今どこにあるのかも、犯人が誰なのかもわかっていない」
「物騒な話ね」
「いかにも。それで、犯行時刻前後に、現場に出入りしていた人物が見かけられている。コルクボードを上手袖から運び出していたという人よ。それはあなたで間違いない?」
「確かに、上手袖からコルクボードを運び出したわ。そこにおいてあるそれよ。保険便りを張り付けるのに使うの」
その女子生徒が指差すところには確かにコルクボードが置いてあった。
「なるほど。まだ名前を聞いていなかったけど、教えてもらってもよろしいかしら?」
「岡村真美。保健委員よ」
萌菜先輩は岡村に質問を投げかける。
「岡村さん、上手袖に入ったとき、怪しそうな人とか見ていない?」
「見てないわよ」
「ピンクの鞄があったのは知っている?」
「さあ、人の鞄なんて注意してみないから」
「そう、ありがとう。また何かあったら聞きに来るわね」
「あっ、すみません。俺からもいいですか?……えっと、深山と言います」
「どうぞ」
「四時ごろに何か用事があったかと思うんですけど、無事に済みましたか?」
「なんの話?意味わかんないんだけど」
岡村は少しイラついたように言う。
「あっ、いえ、すみません。俺の勘違いです。では失礼します」
周りの人間は不思議そうな顔で俺の事を見ていたが、俺が保健室を後にしたので、一緒に出てきた。
「深山君何か気づいたことはあるか?」
歩きながら、萌菜先輩が俺に尋ねる。
「疑問に思ったのは、岡村が何に焦っていたのかということです」
「……さっきも何かを確かめていたが、……彼女は焦っていたか?」
萌菜先輩は怪訝そうな顔をした。
「少なくとも話の中では焦っていたと思います」
「よくわからないんだが」
「岡村は時間を気にしていました。上手袖から出てきたときに、文田さんに時間を尋ね、そして校舎ですれ違ったさやかさんにも時間を尋ねていた。何か用事があって焦っていたと考えるのが妥当です。しかし、さっき見たところ岡村はのんびりした様子だった。もう用事を済ませたということなのかもしれませんが」
「なるほど。ほかにはないか?」
「岡村の事とは直接の関係はありませんが、鞄の出入りした経路についてです。さっき言ったように鞄は窓から出入りしたのでしょう。問題は鍵が閉まっていたということです。すると犯人は鞄を窓から持ち出し、自分だけがまた窓から戻ってきたということになる。では鞄はどこへと消えたんだ?」
「太郎、それは簡単じゃないか。体育館を回って、表に出て、校舎内とかに持って行ったんだよ」
雄清がどうだと言わんばかりに胸を張る.
「それは無理だ」
「どうして?」
「犯人は普通目立つことをしたがらない。でっかいピンク色の鞄を持って人目につくところを歩きたがるとは正直思えんな。演劇部員に目撃される可能性もある」
「そうかなあ」
「それにだ。体育館の横の地面は日陰になっているために地面が柔らかいんだ」
「というと?」
「そんなところを歩けば、足跡が残るが、さっき見た時、俺たち以外の足跡は見受けられなかった。それに上履きに泥が付くことも避けられないだろう。しかし、上手袖には泥のついた上履きで歩いたような跡もなかった」
「ほう、さすが太郎だ。よく気付くね」
「それで、萌菜先輩もう一度体育館裏を見たいんですが」
「いいぞ。二人は返してもいいよな」
萌菜先輩は、バスケ部の文田と、道家を示して言う。
「ええ」
二人は体育館へと戻っていった。
「じゃあ行こうか」
「はい」
0
あなたにおすすめの小説
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2025.12.18)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件
沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」
高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。
そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。
見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。
意外な共通点から意気投合する二人。
だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは――
> 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」
一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。
……翌日、学校で再会するまでは。
実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!?
オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる