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第2章.幻想

33.見えざる者

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「エリアボス…?」

「そう。エリアボス。次の街に行く道には最後にボスがいるの。簡単に言えばね。」

 あぁ、エリアだからその場所のボスな訳ね。
 いや知ってたよ? アラサーだから英語ぐらい分かるよ?
 スプリングは1人で少し、凹んだ。


「そのエリアボスは強いんですか?」
 スプリングは気を取り直して、サキさんに聞いた。

「んー。そうだね。攻略するメンバーは大体10人くらいで挑むね。」


「10!? そんなに必要なんですか?」
 私は驚く。


「まぁねー。その相手の能力的にねー。」

「能力? なんですか?」

「ーーーー。ーーーー。」
 サキさんはその能力を教えてくれた。





「あー。それなら大丈夫だと思います。」
 私は頬をぽりぽりと掻く。

「え?」

「さ、行きましょう。そのボスの所へ。」
 私はそう言うとハトムーの古書堂から出て、門へ歩いて行った。





 ~純麗な森~

「うわ~、凄い。ここがソシャールまでに行く為の道。」

 私達は"純麗な森"へ来ていた。そこは日中にも関わらず、薄暗くなっていた。しかしその薄暗さが小さな光る虫達を際立たせていた。

「ここが好きな人って結構多いからね。私もここ神秘的で好きだし。」
 サキさんはそう言うと、光る虫に手を伸ばす。


(すご~い!!)
(凄く綺麗です!!)
 うちの子らも周りを飛び回ってる。光る虫を追いかけてるベリアル。逆にソーマの光に虫が反応してて、それから逃げてる。

 幻想的な場を乱す可愛いうちの子ら。

 うん。悪くない。
 私がそんな事を思っていると、サキさんが


「スプリングー。油断しないでよー。私は本当に役に立たないよー。」
 と言ってきた。


 私はそんな事を言うサキさんに、
「大丈夫。私がいるから。」
 と言って微笑むと前に進んでいく。


「う、うわぁ。カッコいいんですけど。ウチの先輩。」
 サキさんが何かをボソボソと喋っている様だけど、ここはもう街の外。私は周りの警戒を行う為、ベリアル達を偵察に送った。


 こうすれば、相手に先制を取られることは少ないだろ。
 そう思っていると


「スプリング! 右から何か来てる!」
 とサキさんからの声が。

 私は右を警戒する。しかし何か変わった様なことはなかった。私は首を傾ける。

「サキさん、本当に何か来てるの?」
 そう聞くと、


「間違いない! チューのスキル【危機感知】が発動してる!」
 サキさんは捲し立てる様に言う。チューが毛を逆立てている。恐らく本当に危険が来ているんだろうけど…どうしよう、相手がどこに居るか分からない!


 ザッ!


 私の横で何か地面が擦る様な音が鳴る。


 私が振り向くと、一瞬だがギョロっとした目、森の中に溶け込めれる様な濃い緑の色。4本の脚で立ち、こちらを不思議そうな顔で見つめている姿があった。


「カメレオン!!」
 私はすぐに【影魔術】を発動させ、カメレオンを倒そうとするが、逃げられてしまう。


「サキさん! その場にいてください!」
 私はサキさんの近くまで行き、【影魔術】でサキさんの周りを影でドーム状に覆う。


 私はアイツからの攻撃はどうにかなる…けどサキさんは避ける様なスキルとか持ってなさそうだから、私が守ってあげないと!!


 私はすぐに反応できる様に影のドームを背に、周りを見渡す。


 どうしよう、本当にどこに居るか全く分からない。
 私はそんな事を思っていると、

「スプリングー。何も居なかったよー。あれ? どうしたの?」
 とベリアルが戻ってくる。

「ベリアル、敵だよ! 相手の姿が見えないの!」
 私がベリアルにそう伝える。ベリアルは一瞬驚いた表情を見せるが、周りを見て思いついたかの様に手を叩くと、


「俺に任せて!」
 と胸を叩き、私たちの真上へ飛んでいった。私達から30メートルは離れただろうか。そこでベリアルが止まる。


 そして


(【闇魔術】闇の雨)

 そうベリアルが呟くと言葉通り、辺りに黒い雨が降る。それは私達を避ける様に降り、木々を黒く染める。一面は黒く染まり、私達の周りだけが世界が変わったかの様だった。


 私をその中で目を凝らす。
「…いた!!」
 私は【影魔術】で、カメレオンの頭と胴を分かれされた。



 〈経験値が上昇しました〉
 〈スプリングのレベルが上昇しました。5ステータスポイントを獲得しました〉
 〈ベリアルのレベルが上昇しました。5ステータスポイントを獲得しました〉


 戦闘が終わり、私はサキさんを守っている影のドームを解除した。

 ふぅ。さて、
 私はステータスを開いた。



 名前: スプリング
 種族: 人間(炎に認められし者)
 レベル: 6
 職業:幻術師
 体力: 10
 SP:600 (+500)

 ステータス:
 力: 0 防御: 0 敏捷: 5    魔力: 265(+150)
 幸運: 5

 状態: 普通

 スキル
 【魔力制御】Lv3 
 【影魔術】Lv3
 【光魔術】Lv1 
 【鑑定】Lv2
 【浮遊】Lv1 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前: ベリアル
 種族: インプ
 レベル: 8
 体力: 50
 SP:100

 ステータス:
 力: 30 防御: 0 敏捷: 10    魔力: 50 幸運: 0

 状態: 普通

 親交度:50

 スキル
 【魔力制御】Lv1 
 【闇魔術】Lv2 up
 【いたずら】Lv2 up


 おー、いいね。私はいつも通り魔力にステータスポイントを全振りした。ベリアルのステータスポイントはあとで本人に聞くとして…

 ついに! ベリアルの【闇魔術】が上がりました! 今までベリアルを見守ってきた私からすると感慨深いですよ。さすがベリアル! 私の最初のパートナー!!


 私がそんな事を思っていると、ベリアルが下へと降りてきていた。
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