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第1章 追放、そして始まり
第9話 霊王の洞窟
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今のDPで作れる物、そして役に立つ物って考えればこれだけか…。
俺はボードから、今作るべきであろう建築物をピックアップする。
*****
・暖房(小) 70 P
・風呂(小) 75 P
*****
今のDPは76 P。
風呂好きなエンペルにとっては、風呂が一択になるだろうが…。
「皆んなの事とDPの貯蓄を考えればこっちだな」
俺は暖房(小)に触れる。
あまりDPは変わらないと感じるかもしれないが、食料1個分は思っているよりもデカい。何ならその食料を分ければ何とかなるしな。
触れると、目の前にあったボードの文字が変化する。
【暖房(小)を此処に設置しますか?】
(しまった、今ダンジョンは俺と一緒に移動してるから、設置すると此処になるのか…)
頭を掻きむしる。
「さっきまで居た洞窟に設置する事は出来るか?」
【ダンジョンとなっている所でないと出来ません】
(そう都合良くは行かないか)
俺は小さく呆れ笑いをして溜息を吐くと、皆んなに洞窟に戻る事を提案する。そして足早に洞窟へと戻った。
「で、何をする気なんだ?」
俺が洞窟の真ん中でボードを触って暖房を設置しようとした所に、ガギルが覗き込む様にして此方を見る。
「DPを使って暖房を作るんだよ」
「おー! 暖房か! それはいいな! これで俺はアノムと別々に行動出来るな」
ガギルが何故か嬉しそうに笑いながら言う。
「やけに別々に作業する事にこだわるな。そんな別々に作業したいのか?」
「あ、別にアノムとずっと一緒は嫌だからと言う訳ではないぞ? 折角人間と戦わなくて良くなったんだから、俺は好きな様に研究したい」
ガギルが胸を張りながら親指を立てる。
ガギルは昔から手先が器用で、よく面白い物を作っていた。
戦闘が好きではないガギルが作る物の例として、例えば人の声を真似る人形、それに俺達が考えつかない様なボードゲーム、何故か音色を奏でる箱等、生活に花を添える様な物を作っていた。
これを売ったりしたら凄いと、俺達は思った。だが、ガギルの作った物等は思っていた以上に不評だった。
人型の魔物パーティーに勧めたのだが、戦闘に役に立たないと生きていけない、こんな事をしてる暇があったら訓練をする、等言われたのだ。
魔物にとって生活に花等いらなかった。獣や異形の魔物はもはや論外だった。まずまともに会話も出来ないのだから。
「俺はお前の作った物、好きだからな」
「何だ? 藪から棒に…気持ち悪い」
ガギルが俺の事を罵倒しながらそっぽを向く。
だけど俺は分かってる。ガギルは相手を傷つける言葉は早々言わない。もし言った時は照れている時だ。
「まぁ、取り敢えず暖房を設置してくれ」
俺がそう言うと、勝手にボードが動き、表示される。
【この洞窟の滞在時間が規定に達しました。暖房(小)を北の山岳地帯アルベック、"霊王の洞窟"に設置します】
「ん?」
俺の疑問の声は、大きなボンッという音にかき消された。
そして辺りに散った砂埃が晴れ、俺は一度目を擦って、もう一度ボードに目を向ける。
【この洞窟の滞在時間が規定に達しました。暖房(小)を北の山岳地帯アルベック、"霊王の洞窟"に設置します】
「取り敢えず暖房(小)は設置出来た…で?何だ? この洞窟の滞在時間が規定に達した? 霊王の洞窟?」
…霊王の洞窟って何だ? この洞窟の事を言ってるんだよな?
「何!?」
俺が呟いた瞬間、1番近くに居たガギルが大声を上げて迫る。
「どうしたのー?」
「何?」
「ギィ…」
その大声に、後ろにいたエンペル達が疑問の声を上げる。
「ガギル? 何だ? いきなりそんな大声出して…」
俺がそう言うと、眉を八の字に変えたガギルが一層俺に迫る。
「アノム!! 今何て言った!?」
「え、えーっと…霊王って?」
そう言うと、ガギルは頭を抱えて天井を仰ぎ見る。
「アノム知らないのか!?」
「わ、悪い。あまりこっちの地理には詳しくなくてな」
まさかこっちに来るとは思ってなかったし、あまり勉強するのは好まないし…。
俺が答えると、ガギルは少し呆れた様に溜息を吐いた後、応える。
「そう言う事じゃない……霊王ジャルデの名前を何で今急に言ったんだ?」
「霊王ジャルデ?」
「えー、アノムってジャルデの事知らないのー?」
「無知」
少し怒った様な口調で話すガギルに、エンペルが親しげにジャルデという名前を出し、ルイエが口角を上げて俺を馬鹿にする。
「そんな有名人なのか?」
そう俺が聞くと、3人は呆れた表情で顔を見合わせて、大きく溜息を吐いた。
そんな呆れるか?
そう思っている所に、ガギルが話し出す。
「ジャルデは1000年前、人間の中でも最強と言われた魔導師の名だ。ジャルデが使う魔法は精細で精彩、何より強力だったと言われている。そして何千年に1人の天才だと言われ、その時の勇者は何も出来ずに敗北した。ジャルデの才能は、周辺の国々がジャルデの事を恐れ慄いた程だ」
何だその化け物は…。
年々、世界の実力者のレベルは弱くなって行っている。
今の魔王の座に着くのなんかは、力よりも頭脳と政治力、戦略を優先し、昔よりは平和な世襲制を取っている。
まぁ、俺達はそんな中不要だと追放された訳だが…。
人の世でも、俺達魔物の実力が下がり続けるのに応じて命を落とすという危機感が薄れ、実力が下がって来ている。
その昔の勇者を倒したというジャルデは、相当な実力者だと言う事だ。
「それで? 何で急にジャルデの名を出したんだ?」
ガギルが聞く。
「実は…今ボードに此処の洞窟が"霊王の洞窟"って表示されたんだ」
「「「は?」」」
俺の言葉を聞いた3人は目を見開いて此方を見つめ、辺りに静寂が訪れた。
そんな中、ワームは足下でウネウネと動いていた。
俺はボードから、今作るべきであろう建築物をピックアップする。
*****
・暖房(小) 70 P
・風呂(小) 75 P
*****
今のDPは76 P。
風呂好きなエンペルにとっては、風呂が一択になるだろうが…。
「皆んなの事とDPの貯蓄を考えればこっちだな」
俺は暖房(小)に触れる。
あまりDPは変わらないと感じるかもしれないが、食料1個分は思っているよりもデカい。何ならその食料を分ければ何とかなるしな。
触れると、目の前にあったボードの文字が変化する。
【暖房(小)を此処に設置しますか?】
(しまった、今ダンジョンは俺と一緒に移動してるから、設置すると此処になるのか…)
頭を掻きむしる。
「さっきまで居た洞窟に設置する事は出来るか?」
【ダンジョンとなっている所でないと出来ません】
(そう都合良くは行かないか)
俺は小さく呆れ笑いをして溜息を吐くと、皆んなに洞窟に戻る事を提案する。そして足早に洞窟へと戻った。
「で、何をする気なんだ?」
俺が洞窟の真ん中でボードを触って暖房を設置しようとした所に、ガギルが覗き込む様にして此方を見る。
「DPを使って暖房を作るんだよ」
「おー! 暖房か! それはいいな! これで俺はアノムと別々に行動出来るな」
ガギルが何故か嬉しそうに笑いながら言う。
「やけに別々に作業する事にこだわるな。そんな別々に作業したいのか?」
「あ、別にアノムとずっと一緒は嫌だからと言う訳ではないぞ? 折角人間と戦わなくて良くなったんだから、俺は好きな様に研究したい」
ガギルが胸を張りながら親指を立てる。
ガギルは昔から手先が器用で、よく面白い物を作っていた。
戦闘が好きではないガギルが作る物の例として、例えば人の声を真似る人形、それに俺達が考えつかない様なボードゲーム、何故か音色を奏でる箱等、生活に花を添える様な物を作っていた。
これを売ったりしたら凄いと、俺達は思った。だが、ガギルの作った物等は思っていた以上に不評だった。
人型の魔物パーティーに勧めたのだが、戦闘に役に立たないと生きていけない、こんな事をしてる暇があったら訓練をする、等言われたのだ。
魔物にとって生活に花等いらなかった。獣や異形の魔物はもはや論外だった。まずまともに会話も出来ないのだから。
「俺はお前の作った物、好きだからな」
「何だ? 藪から棒に…気持ち悪い」
ガギルが俺の事を罵倒しながらそっぽを向く。
だけど俺は分かってる。ガギルは相手を傷つける言葉は早々言わない。もし言った時は照れている時だ。
「まぁ、取り敢えず暖房を設置してくれ」
俺がそう言うと、勝手にボードが動き、表示される。
【この洞窟の滞在時間が規定に達しました。暖房(小)を北の山岳地帯アルベック、"霊王の洞窟"に設置します】
「ん?」
俺の疑問の声は、大きなボンッという音にかき消された。
そして辺りに散った砂埃が晴れ、俺は一度目を擦って、もう一度ボードに目を向ける。
【この洞窟の滞在時間が規定に達しました。暖房(小)を北の山岳地帯アルベック、"霊王の洞窟"に設置します】
「取り敢えず暖房(小)は設置出来た…で?何だ? この洞窟の滞在時間が規定に達した? 霊王の洞窟?」
…霊王の洞窟って何だ? この洞窟の事を言ってるんだよな?
「何!?」
俺が呟いた瞬間、1番近くに居たガギルが大声を上げて迫る。
「どうしたのー?」
「何?」
「ギィ…」
その大声に、後ろにいたエンペル達が疑問の声を上げる。
「ガギル? 何だ? いきなりそんな大声出して…」
俺がそう言うと、眉を八の字に変えたガギルが一層俺に迫る。
「アノム!! 今何て言った!?」
「え、えーっと…霊王って?」
そう言うと、ガギルは頭を抱えて天井を仰ぎ見る。
「アノム知らないのか!?」
「わ、悪い。あまりこっちの地理には詳しくなくてな」
まさかこっちに来るとは思ってなかったし、あまり勉強するのは好まないし…。
俺が答えると、ガギルは少し呆れた様に溜息を吐いた後、応える。
「そう言う事じゃない……霊王ジャルデの名前を何で今急に言ったんだ?」
「霊王ジャルデ?」
「えー、アノムってジャルデの事知らないのー?」
「無知」
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「そんな有名人なのか?」
そう俺が聞くと、3人は呆れた表情で顔を見合わせて、大きく溜息を吐いた。
そんな呆れるか?
そう思っている所に、ガギルが話し出す。
「ジャルデは1000年前、人間の中でも最強と言われた魔導師の名だ。ジャルデが使う魔法は精細で精彩、何より強力だったと言われている。そして何千年に1人の天才だと言われ、その時の勇者は何も出来ずに敗北した。ジャルデの才能は、周辺の国々がジャルデの事を恐れ慄いた程だ」
何だその化け物は…。
年々、世界の実力者のレベルは弱くなって行っている。
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まぁ、俺達はそんな中不要だと追放された訳だが…。
人の世でも、俺達魔物の実力が下がり続けるのに応じて命を落とすという危機感が薄れ、実力が下がって来ている。
その昔の勇者を倒したというジャルデは、相当な実力者だと言う事だ。
「それで? 何で急にジャルデの名を出したんだ?」
ガギルが聞く。
「実は…今ボードに此処の洞窟が"霊王の洞窟"って表示されたんだ」
「「「は?」」」
俺の言葉を聞いた3人は目を見開いて此方を見つめ、辺りに静寂が訪れた。
そんな中、ワームは足下でウネウネと動いていた。
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