魔王から不要と言われ、魔王城から追放された最弱魔物パーティーの俺。辺境でダンジョン主になったので、皆んなと悠々自適な毎日を過ごしてみる。

ゆうらしあ

文字の大きさ
23 / 38
第2章 人との交流

第22話 もっと発展させよう

しおりを挟む
「い、いや、ガギル。それは…」
「実は私、数減らしで村から追い出されたんです」

 俺がその話を濁そうとすると、サーナが話し出す。

『此奴の系統は攻撃系だ。此奴の力で如何様にも狩りが出来ただろうに。馬鹿な奴らだ』

 ジャルデが呟いている。
 サーナの魔法の系統って事か? そんなのも分かるのか。

 あ、いや、今はそれよりもだ。

 俺はジャルデの呟きを頭の片隅に入れながら、サーナの話を聞く。

「私の村の領主が最近税金を上げ始めたのです。その所為で村での食糧がドンドン減って…」

 なるほど…金がなければ何も出来ない。生きる事も難しくなってくる。自分達が生きる為に家族を捨てるか…。

 人間の中ではよく聞く話だ…それと同時にやっぱり聞かなければよかった話でもある。

「俺なら森の中にでも入って狩りをする事で食べ物を、それ以外の時間を研究に当てて、特産品を作る」
「ガギル、皆んながそんな簡単に特産品を作る事なんて普通出来ないぞ」

 それはガギルだからこそ出来る芸当だろ。

「なら、どうするのかしら? サーナは此処に居るって事?」

 ルイエが話す。

「……私は死ぬつもりでした。だから生き物が存在しないと言われるアルベック山脈に来たんです。どうするって言われても…」

 サーナは肩を落とす。

 死ぬつもりだったのか。なら分からなくもないか…此処に来たのも。人里離れた此処で…誰にも気付かれない様に簡単に死を迎える事が出来る。

 俺達と理由は違いながらも、此処に来た目的は同じか。

「なら此処で過ごせば?」
「それ良いー!!」
「まぁ…俺は構わないが」

 そんな時ルイエが確然と言う。エンペルとガギルがそれに同意する。

「い、良いんですか?」

 サーナが俺の方を見て問う。

 ハッキリ言えば俺に聞かないで貰いたい。

 だが、サーナが居れば何が変わる?
 数減らしで村から追い出された少女、村に帰る事もない、俺達が居なければ此処から出る事もない…裏切りは…サーナのこの表情的にはない様にも見える。

 別に問題ない。それどころか…侵入者が増えるからDPの増加量も増える。良い事だな。

「あぁ、大歓迎だ」
「あ、ありがとうございます!」

 サーナが礼をしてる所、俺はなるべく優しく笑顔を浮かべて言った。



 翌日。

 ジャルデとサーナを迎え2日が経った。1日の増加量が31 Pから51 Pに上がり、食糧などの分を引いてDPは全部で92 Pになり、完全にサーナの体力は戻って来ている。

 そして、そんなサーナとエンペルは、共に洞窟外の結界内にて、地面を掘っていた。

「エンペル、サーナ、それ何してるんだ?」

 俺が聞くと、エンペルが振り返り元気に応える。

「種を植えてるのー!」

 そう言って見せてくれたのは、アレップルとバナナナの種だった。

 恐らく前食べた物の種だろうが、まだ持っていたのか。

「これでアノムさんに迷惑を掛けないで済みます!」

 サーナが嬉しそうに笑顔で両拳を胸の前で握りしめる。

「でもこんな吹雪じゃ育たなくないか?」

 結界内は天気の影響を受けない。温度は適温を保っている。

 しかし、この凄まじい吹雪はほぼ太陽の光を通さない。

 ずっととは言わないが、あまりにも太陽の光が少な過ぎる。

「えー? 何でー?」
「私毎日お水やります!」

 それ以外にもある。

「植物が育つ為には水、空気、そして日光が必要なんだ。こんな猛吹雪の日光が当たらない土地では育ちはしないし、水だけやっても難しいだろう。土は微生物なる小さな生物が居ないと植物が育たないとも言う」
「う~ん?」
「えっと…どういう?」

 これ以上の説明は出来ないな…。

「まぁ、今では難しいって事だ。それよりも今から洞窟で快適に過ごせる様に暖房を作るつもりなんだが?」
「えー! 洞窟の中1人で居てもあたたかいー?」
「あぁ。これで十分になる筈だ」

 俺はボードを操作する。
 因みにサーナは「だ、暖房を作る? 快適に過ごせる?」っと疑問を持っている様だ。今まで食糧しか出してこなかったからな。しかもダンジョンの事についてもまだ話してないし。

 俺は暖房という項目に触れる。

【暖房(小)70 Pを設置しますか?】

「あぁ」

 ボンッという音が鳴り、洞窟内が暖かくなったのか、ルイエの眠っている表情が些か安らかになった様だった。

 それと同時にーー

【人が過ごせる環境が整いました。位階が上がります。報酬に1000 P付与、召喚陣を設置します】

「ほ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

処理中です...