魔王から不要と言われ、魔王城から追放された最弱魔物パーティーの俺。辺境でダンジョン主になったので、皆んなと悠々自適な毎日を過ごしてみる。

ゆうらしあ

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第2章 人との交流

第28話 サーナの行方

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「サーナ!!」

 俺は突然居なくなったサーナを探す為、周囲を見渡す。

 周囲には何もいる気配は何もない…いや、足跡がもう一つある…!

 大きな足跡、それに加え魔物の足跡でもない。

「人間…しかも大人の…!!」

 その答えが出た瞬間、俺は足に力を込めた。

 それと同時にビキビキっという音が自分の足下の地面から鳴る。


 ゴオォッ


 俺は走り出す。

「プガッ!?」

 それと同時に背中からそんな声が聞こえて来る。

「あ、忘れてた」
「な、何すんのよ!?」

 あまりの痛みと、雪に落ちた所為で目が覚めたのか、目を吊り上げて怒るルイエに俺はすぐさま頭を下げる。

「悪い、忘れてた」
「忘れてたって、アノム! 貴方
「サーナが攫われたかもしれない」

 俺はルイエの話している言葉を遮って、今の状況を説明する。

 すると、ルイエはすぐさま頭を下げている俺の頭を踏み台に背中へと乗った。

「なら、早く追わないとね。さ! アノム! アノムの方が早いんだからすぐ追うわよ!!」
「わ、分かった!」

 こういう時のルイエは切替が早い。仲間の為、そして自分の睡眠の為になると早く終わらせようと行動する。

 睡眠の為と言うのが少しアレだが…

 俺は少し呆れを含ませた尊敬をルイエに抱きながら、足跡を辿って行くのだった。



 ◇

「んーっ!!」
「はぁ、はぁ、はぁ」

 その頃サーナは、ある男に抱き抱えられていた。

 防寒具を身につけているその姿からは、男がまるでここに来るのを目的にしていたかの様な服装の様に思えた。

「へ、へへ、これで俺もお頭に示しがつくってもんだぜ!」

 サーナの口を手で塞ぎながら、男は呟く。

 男はここら辺一帯を占めている盗賊団、『アイスフェイス』の下っ端団員だった。

「だが、まさかちょうどこんな容姿が良いガキが居るとは、流石の俺もビビったぜ」

 男は先日、奴隷商を装い街へと奴隷を売りに行っている途中、その中でも目玉商品である貴族の令嬢を逃すと言う失態を犯してしまっていた。

 その為、お頭から追放されたが、ここら一帯は今飢饉に陥っている。下手に近くの村に行っても追い出されるだけ。そう思い彷徨っている所目にしたのが、容姿が良い少女。

 運が良い。

 しかも、あんな北の山岳地帯アルベックで、こんな服装で呑気に歩いているのを見ると、何らかの魔法を使っているか、特殊な能力がある特異な民族かもしれない。

 そう考えれば、貴族の令嬢の分の金なんてすぐ取り戻せる程の金額が手に入る事間違いないだろう。

 ここから街までは時間がかかり過ぎる。何の拘束具もない時点で、アジトに持って行って、また取り入るのが賢明だろう。

 そう思っての行動だった。

「これで俺が幹部になったりして…まさかな!」

 男は静かに自分の輝かしい未来を想像するのだった。


 ◇

「アノム、早く追わないとサーナが…」
「分かってる。分かってるが…」

 俺達は今、慎重にサーナの跡を追っていた。

 しかし相手は人間。俺達が安易に近づけば、罠などと言った物が張られている可能性がある。

 戦争の時でもそうだった。俺達魔物が人間に襲い掛かろうとすると、彼方此方に罠が張り巡らせており、魔物の命を多く奪ってきている。

 その事を考えれば進むスピードが遅くなるのは必然だった。

 ならばガギル達を呼びに行けばいい…が、それをやっている間にも雪で残った足跡は消え、サーナの身も危険になるのは容易に予想出来た。

「アノム…これ以上遅くなったら…」

 ルイエの心配そうな声が耳によく響く。

「…ルイエ、覚悟決めて貰っていいか?」
「当たり前じゃない!! 追放された時点で私は覚悟を決めてるのよ!!」

 俺は背中にルイエの思い切りの良いキックを喰らいながら、足に力を込めた。
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