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第2章 夜会がある様です。
第12話 城の裏にて
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「マアト! おいで!」
「アウ!」
マアトが産まれてから数日が経ち、マアトは産まれた時の弱々しさを感じさせない程に、元気に成長していた。
「よしよし!」
カーシュが優しく頭を撫で上げると、マアトは気持ちよさそうにカーシュの手に寄り添う。
マアトの成長はカーシュが思っていたよりも大分早かった。今はもうカーシュよりも駆けっこが速く、力も体当たりされたらカーシュが少しよろめく程だ。
体格も産まれて2回り程大きくなった。あと数日もすれば持ち上げるのも難しくなるだろう。
(これは魔物だからかな?)
普通のライオンでは、ここまで早く成長しない。数ヶ月はミルクを飲み、そこから離乳食、肉と、変化して行く筈だ。
それなのにマアトは産まれたその日だけミルク、その後は肉を食べ始めた。
「異世界、だなぁ」
「アウ?」
「んー? 何でもないよ。さぁ! 次は何して遊ぼうか?」
「………アウ…」
カーシュが笑顔で手を広げると、マアトは窓の外を見上げる様に見た。
「あ…外に行きたいのか…」
マアトは未だ外には出ていない。ずっとカーシュの自室のみに居る。
マアトがハウスタイガーの亜種と知っているのはビクターとラルだけで、亜種というのは、それだけで侮蔑の対象になり得るらしい。
それを考慮してだったが…
「マアトに我慢させるのも良くないだろうしなぁ…」
カーシュは、マアトの何処か寂しげに外を見る姿に心を打つ。そしてゆっくりとマアトの身体を毛布で包む。
「マアト、外に出たらあまり大声を出さない事。良い?」
「アウ♪」
魔物だからだろうか。マアトは頭が良く、此方に返事を返す様に嬉しそうに鳴く。
(ウチの子、凄すぎ)
そんな親バカとも取れる事を考えながら、カーシュはマアトを抱えながら外に飛び出した。
* * *
「マアト…シーッだよ?」
「アウ…」
そこは城の裏。
カーシュが偶々、BL化のシチュエーション探索の時に見つけた場所である。
人通りがほぼ無く、人目を憚り組んず解れつするには持ってこいの場所。
(過去の私…グッジョブ!!)
カーシュは心の中で親指を立てながら、マアトを地面へと下ろす。
「アゥ……」
しかし、マアトの表情が明るくなる事はなかった。
ここは決して日当たりの良い場所ではない。その為か、マアトのテンションがイマイチ上がっていないのだろう。
「んー…もう少しそっちに行ってみる?」
「アウ!」
少し大きな鳴き声を上げながらマアトは返事をする。
それに肝を冷やしながら、カーシュはマアトを抱いて少し日が当たる場所へと向かった。
「ふわぁ…」
「アウアウッ!」
カーシュの口からは感嘆の声、マアトの口からは元気な鳴き声が出る。
そこはまだカーシュが探索していない場所。
自然か、それとも人工的か、それは分からない。しかし、そこには確かに幻想的と言えるほどの緑のアーチが出来ていた。
「こんな所がこの城にあったんだ…」
カーシュがはしゃぐマアトを追って、緑のアーチを潜る。
「あら? こんな所に何の用かしら?」
「アウ?」
そこに居たのは、一言で言うなら美人。
妖精の様な妖艶さを放つ、黒髪ロングで垂れ眉なおっとり美人が居た。
それにカーシュは、少ない記憶の中だが見覚えがあった。
「……母上?」
「あらカーシュ、貴方だったのね?」
第一王妃"フアラ・アルザ・ファテル"はマアトを抱き上げると、穏やかに微笑んだ。
「アウ!」
マアトが産まれてから数日が経ち、マアトは産まれた時の弱々しさを感じさせない程に、元気に成長していた。
「よしよし!」
カーシュが優しく頭を撫で上げると、マアトは気持ちよさそうにカーシュの手に寄り添う。
マアトの成長はカーシュが思っていたよりも大分早かった。今はもうカーシュよりも駆けっこが速く、力も体当たりされたらカーシュが少しよろめく程だ。
体格も産まれて2回り程大きくなった。あと数日もすれば持ち上げるのも難しくなるだろう。
(これは魔物だからかな?)
普通のライオンでは、ここまで早く成長しない。数ヶ月はミルクを飲み、そこから離乳食、肉と、変化して行く筈だ。
それなのにマアトは産まれたその日だけミルク、その後は肉を食べ始めた。
「異世界、だなぁ」
「アウ?」
「んー? 何でもないよ。さぁ! 次は何して遊ぼうか?」
「………アウ…」
カーシュが笑顔で手を広げると、マアトは窓の外を見上げる様に見た。
「あ…外に行きたいのか…」
マアトは未だ外には出ていない。ずっとカーシュの自室のみに居る。
マアトがハウスタイガーの亜種と知っているのはビクターとラルだけで、亜種というのは、それだけで侮蔑の対象になり得るらしい。
それを考慮してだったが…
「マアトに我慢させるのも良くないだろうしなぁ…」
カーシュは、マアトの何処か寂しげに外を見る姿に心を打つ。そしてゆっくりとマアトの身体を毛布で包む。
「マアト、外に出たらあまり大声を出さない事。良い?」
「アウ♪」
魔物だからだろうか。マアトは頭が良く、此方に返事を返す様に嬉しそうに鳴く。
(ウチの子、凄すぎ)
そんな親バカとも取れる事を考えながら、カーシュはマアトを抱えながら外に飛び出した。
* * *
「マアト…シーッだよ?」
「アウ…」
そこは城の裏。
カーシュが偶々、BL化のシチュエーション探索の時に見つけた場所である。
人通りがほぼ無く、人目を憚り組んず解れつするには持ってこいの場所。
(過去の私…グッジョブ!!)
カーシュは心の中で親指を立てながら、マアトを地面へと下ろす。
「アゥ……」
しかし、マアトの表情が明るくなる事はなかった。
ここは決して日当たりの良い場所ではない。その為か、マアトのテンションがイマイチ上がっていないのだろう。
「んー…もう少しそっちに行ってみる?」
「アウ!」
少し大きな鳴き声を上げながらマアトは返事をする。
それに肝を冷やしながら、カーシュはマアトを抱いて少し日が当たる場所へと向かった。
「ふわぁ…」
「アウアウッ!」
カーシュの口からは感嘆の声、マアトの口からは元気な鳴き声が出る。
そこはまだカーシュが探索していない場所。
自然か、それとも人工的か、それは分からない。しかし、そこには確かに幻想的と言えるほどの緑のアーチが出来ていた。
「こんな所がこの城にあったんだ…」
カーシュがはしゃぐマアトを追って、緑のアーチを潜る。
「あら? こんな所に何の用かしら?」
「アウ?」
そこに居たのは、一言で言うなら美人。
妖精の様な妖艶さを放つ、黒髪ロングで垂れ眉なおっとり美人が居た。
それにカーシュは、少ない記憶の中だが見覚えがあった。
「……母上?」
「あらカーシュ、貴方だったのね?」
第一王妃"フアラ・アルザ・ファテル"はマアトを抱き上げると、穏やかに微笑んだ。
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