月姫の祈り

☆リサーナ☆

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第1章 (2)

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「……げつ。ごめんね、迷惑かけて」

逃亡して三日後ーー。
私達は森を抜けた島の外れにある、小さな港町の宿屋に居た。

げつと今後どうするかを話し合った結果。住み慣れた島を去るのは寂しいが、私達の事を誰も知らない地に行くのが安全だと話がまとまった。
本当は故郷の里に戻りたかったけど、あそこはもう焼き野原……。それに、戻れば逃げた私を王様や兵士達が待ち伏せをしている可能性が十分にあった。

だから、私達は舟に乗って別の島に渡る道を決めた。
決めたん、だけど……。

里を滅ぼされ、みんなを殺された事。二週間の監禁生活、その後に満足に休む場所も食べ物もなかった野宿生活が重なって、心労と疲労が溜まった私は熱を出してしまった。
一ヶ所に身を置くのは危険だし、宿代だってかかるから野宿をしながら舟に乗るお金を稼ぐ予定だったのに……。
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