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第4章(3)ツバサside
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しおりを挟む一瞬で手汗が滲み、喉が渇き、身体が小刻みに震えてくるのが分かった。
自分の心が隙だらけである事を、完全に思い知らされる。
ここで俺の友人であるジャナフを助手のように使い、その反応を見て、ミヅクさんは"今の俺"を完全に見抜いている。
下剋上はすでに始まっていた。
「勝負開始」の言葉がかかる前から、すでに始まっているんだ。
「さっきも言ったけど、ボクは地位にも白金バッジにも興味も執着もない。
けど、"オヤジ"の……先代最高責任者の為にも、簡単に白金バッジは渡さない。
『お前はお前のやり方で我が一族を護ってくれ』。ボクはそのオヤジの言葉に従うだけだ。
……例え、掟に背いても。自分の命を懸けても、ね?」
そう言って、ミヅクさんは毒の入った小瓶をテーブルの上に置くと座っていた回転椅子をクルッと動かして俺に背を向ける。
「不正がないよう、毒を盃に入れるのはツバたん。入れたらツバたんも背を向けて、この下剋上の立ち合い人であるノゾみんに盃をシャッフルしてもらう。
そしたら、勝負開始だ。ジャンケンして、先攻後攻を決めよう。……さぁ、どうぞ~?」
弾む声。鼻歌を口遊みながら、足をパタパタと揺らすご機嫌な背中。
自分の勝ちを確信しているのか。
はたまた、死を受け入れ恐れていないのか……。
どちらにせよ、ミヅクさんには決して自分にはない堂々たる風格があった。
俺は、深呼吸するとテーブルに置かれた小瓶を手に取り毒薬を確認する。
その品名を見れば、これがただの脅しやハッタリではない事が分かった。虎や牛……、いや象のような巨大な生き物でさえ一滴で命を奪える程の猛毒だ。
危険性が高い事から、普通は簡単に入手出来る品物じゃない。おそらく、作ったんだ。ミヅクさんが、自分自身で……。
「ーーどうしたの?……怖い?」
鼻歌が止み、笑いを含んだ声が俺に問う。
「おかしいなぁ……。ツバたん、死にたいんじゃなかったの?」
その問いに、また見透かされた俺の心はビクッと揺れた。
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