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第5章(2)ツバサside
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しおりを挟む「でも、やっと、分かったんです。
大切な人の為に犠牲になるんじゃなくて、大切な人が笑顔になってくれる方法を、選ぶべきなんだ、って」
どうして人は、周りの気持ちには鈍感なのだろう?
自分だって、そんな事されたら嫌なのに……。なかなか気付く事が出来ない。
でも、俺は気付けた。
これ以上、大切な人の悲しい表情を見ない為に、自分がどうすればいいのか。だから……。
「だから、俺はこの盃は飲めません。
甘っちょろいと言われるのも、ルール違反だと言われるのも百も承知です。
けどっ……どうか、お願いしますッ!!」
カッコ悪くてもいいんだ。
だって、俺は俺なんだから……。
父さんのように天才じゃない。
勝負運が強い訳でも、実力が備わっている訳じゃない。
だから、諦めず、抗う事しか出来ないーー。
俺は椅子から立ち上がると、床に両膝と両手を着いて……頭を下げた。
「お願いします!何か別の勝負方法で、再戦をさせて下さい……!!」
毒を飲む訳にはいかない。
大切な人達を悲しませる訳にはいかない。
でも、この勝負に、負ける訳にもいかない。
「っ、お願いします!!お願いします!!お願いしますッ……!!」
俺は、何度も何度もお願いし続けた。
これが、今の自分に出来る精一杯の行動。
今を生きて、明日に繋げるんだ。
大切な人の笑顔を、これからも見る為に。
大切な人と、これからも未来を生きていく為にーー……。
すると、お願いし続ける俺の頭上から、再びミヅクさんの「あははははははっ……!!」と言う笑い声が聞こえた。
やっぱり、ダメなのかーー?
そう、思いかける。
しかし、それだけではない。
パンッ!パンッ!と、手を叩く音も聞こえて……俺はゆっくりと、顔を上げた。
その視線の先にあったのは……。
さっきの見下していた笑顔ではなく、満足そうな暖かい笑顔を浮かべたミヅクさんだった。
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