136 / 149
第7章(2)ノゾミ&ジャナフside
2-5
しおりを挟むボクの前では微笑っていたけど、夜中に独りきりで泣いていた事を知っていた。
けど、幼いボクは何と声をかけていいかも分からなかった。
身体も心も小さかったから、何一つ包み込んであげる事が出来なかったんだ。
だから、ノゾミさんを救いたかったーー。
話を聞いてあげたかった。
支えてあげたかった。
手を握ってあげたかった。
笑顔にして、あげたかった。
その筈、だったんだ。
彼女は、母親の代わりの筈……だったんだ。
それなのに……。
『今、ミライさんと瞬空さんは、自分自身とノゾミさんへの想いで戦っています。
だから、ノゾミさんもその想いを受け止めて、応えてあげて下さい』
そう、彼女の背中を押した事を、ほんの少し後悔した自分が居た。
ボクに笑顔でお礼を言って去って行く彼女の背中を見て、寂しい、って感じて……ほんの少し、泣きたくなった。
ーーなんで?
ボクは、ノゾミさんを母の代わりに救いたかった。
瞬空さんはボクの父とは違って、ノゾミさんをちゃんと愛している。だから、彼女が勇気を出して前に踏み出せば、二人で歩んで行ける未来があるかも知れないんだ。
ボクはその背中を押した。
幼いあの日には出来なかった事を、後悔を、ノゾミさんを救う事で気持ちを晴らそうとしていたんだ。
でもーー……。
「違うだろ?ジャナフ」
「!っ、……ツバサ」
ノゾミさんの背中を押した後、ボクは下剋上の場に戻れなかった。
廊下の長椅子に座ったまま、立ち上がれなくなっていたボクの元に来てくれたのはツバサ。彼のまとう空気を見たら、下剋上はすでに終わり、また彼が白金バッジを手にした事が分かった。
今までのボクなら、すぐに「おめでとう!」って言葉が口から出ていたであろう。
でも、この時のボクは、
「違う、って……?」
ツバサに、そう聞き返していた。
そんなボクの隣に座って、ツバサが言う。
0
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
自由を愛する妖精姫と、番にすべてを捧げた竜人王子〜すれ違いと絆の先に、恋を知る〜
来栖れいな
ファンタジー
妖精女王と精霊王の間に生まれた特別な存在――セレスティア。
自由を愛し、気ままに生きる彼女のもとに現れたのは、竜人族の王子・サイファルト。
「お前は俺の番だ」
番という名の誓いにすべてを捧げた彼は、王族の地位も未来も捨てて森に現れた。
一方のセレスティアは、まだ“番”の意味すら知らない。
執着と守護。すれ違いと絆。
――これは、ひとりの妖精姫が“特別”に気づいていく物語。
甘さ控えめ、でも確かに溺愛。
異種族の距離を越えて紡がれる、成長と守護のファンタジー。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
12年目の恋物語
真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。
だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。
すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。
2人が結ばれるまでの物語。
第一部「12年目の恋物語」完結
第二部「13年目のやさしい願い」完結
第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中
※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる