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序章(1)紫夕side
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しおりを挟むならば、どうすればいい?
魔器を扱うには、常に生命力を奪われ続け、最終的には死を迎えるしかないのかーー?
簡単だ。
常に、魔器よりも自分が上であり、従わせ続ける事。これが、最終関門だ。
そこまで乗り越え、合格出来た限られた者は、守護神の特殊部隊の一員となれる。
俺も、その一人だ。
特殊部隊第1隊長、望月 紫夕。
たが、「隊」と言ってもさっき言ったように常に人員不足の現実。
今回この小さな村を救う為に派遣されたのは俺一人だった。
風に乗って、生臭いとは違う、焼けた血の匂いが鼻から脳に染み渡る。
何度嗅いでも、慣れない。嗅ぐ度に、仕方ないと分かっていてもやるせない気持ちが込み上げてくる。
若い頃は感情が抑えきれなくて、目の前の現実を受け止めきれなくて、涙を流し取り乱す事が多々あった。
今ではそんな事はなくなったが、やはり慣れるものでもなければ、慣れてはいけないものだと……思った。
『……そうですか、残念です。帰還しますか?』
「ああ、そうだな」
『分かりました。どうぞお気を付けて……』
終わってしまった事に、いつまでも執着していてはいけない。
この事を悔やむ暇があるのならば、次に助けを求めている人々がいる場所へ自分は1分でも1秒でも早く向かうべきだと思った俺は、オペレーターに返事をして待たせてある車の方へ足を進めようとした。
だが、その時。
ギシャアアアァァァーーー……ッ!!!!!
空気を切り裂くような魔物の鳴き声が耳に届き、俺は振り向く。
この鳴き声、キマイラかーー?!
キマイラ。
それは、頭部が獅子、胴体は牝山羊、後部は竜。更に獅子と牝山羊と竜蛇の三つの頭をもつ合成怪獣。
この辺りに出現する魔物の中ではかなり高ランクの危険度を誇るボス的存在だった。
燃える炎に遮られて遠くまで見えない。
だがこれまでの経験上、あのキマイラの鳴き声は仲間同士の挨拶を交わすものではなく、確かに何者かに敵意を向けている時のものだった。
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