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第8章(4)紫夕side
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しおりを挟むむしろ、スッ……と。
何だか、納得してしまった自分が居た。
ーーああ、俺。本当にもう、大丈夫だ。
雪がどんな生まれだろうが、どんな血を持っていようが……。雪は雪だって、思える。
「俺は、例えお前が化け物でも、愛してるからな」
そう、微笑んで雪に言えた自分が居た。
そして俺は、日記を読み進めた。
そこには、研究者の中に一人だけ気に掛けて良くしてくれた人が居て、その人の手を借りて何とか研究所を抜け出した事。それから、追っ手に見付からないように幼い雪を連れて逃げる厳しい日々の様子が書かれていた。
一ヶ所に留まらず、なるべく人が少ない小さな町や村へ行き、時には山に籠ったり……。
そしてお袋さんと雪は、あの村に辿り着いたんだ。俺が、初めて雪と会った、あの村に……。
日記を読む感じでは、雪が5歳位の頃だ。
その村には孤児院があって、お袋さんと雪はそこの院長さんのご厚意で暫く置いてもらえる事になった。
しかし、その頃。
お袋さんの身体に、変化が表れ始めていた。
【胸の痛み、激しい動悸が頻繁に起こるようになってきた。
身体のあちこちも、徐々に変わってきている。
私は、きっともう人間としては生きられない。
今頃気付いた。
私は、研究所の中でしか生きられなかったんだ。化け物、だから……。
橘さん達に手を借りないと、人の姿を保つ事も、生命力を維持する事も出来ない……実験動物。
何となく、感じる。
私はもうすぐ、死んでしまう。
ううん、その前にきっと……この姿を保てなくなって、化け物に変わって、この村を破壊して、人を喰い殺してしまうんだ。
このままじゃ愛するサクヤの事すら分からなくなって、殺してしまうかも知れない。
離れなきゃ。
私、この子から、離れなきゃいけない。】
……
…………日記は、これが最後のページだった。
けど、替わりに一本の動画が貼り付けられていた。俺は、その動画を再生してみる。
すると、そこには映って居るのは雪のお袋さん。俺が見た瞬間に恋に落ちたあの時と、全く変わらない姿がそこにあった。
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