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第9章(3)紫夕side
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しおりを挟むーー……こりゃ、さすがにやべぇかな。
よろけて膝を着きそうだった身体を、斬月を地面に刺して何とか持ち堪えた。
親父を傷付けたくないーー……。
目の前に居る敵が、もう親父ではなく魔物なのだと頭では分かっている。
けど、斬り付けようとする度に俺の中には親父の笑顔がチラついて、自然と力を緩ませてしまっていた。
そんなこんなしてるうちに、橘に変な薬を打ち込まれた親父は時間が経過すると共に進化していって……。ついには身体のデカさは最初の5倍以上になり、それと共に巨大化した手で作られた拳の破壊力はハンパない。一撃で地面や建物に亀裂が入り、それを避けたり斬月で受け止めていたら、自分の身体に疲労が表れ始めた。
昨日、寝てなかったからな……。
あー……それに、昨日の昼飯以来なんも食ってなかったわ。
第1部隊の復帰任務の際、現地で軽くみんなとお昼ご飯を食べた事を思い出す。
昼飯は大体守護神が用意してくれた物だから、正直そんなに美味しい訳ではない。でも、みんなと食べるから、だいぶマシに思えた。
雪のメシ、食いてぇなーー……。
「朝ご飯は大切よ!」ってマリィの言葉を忠実に守って、どんなに任務の早い朝でも雪は早起きして朝ご飯を作ってくれた。
最初はパンと目玉焼き焼いただけだったのが、スープや色んなサラダが付くようになって……。いつの間にか作れる卵料理の種類が増えて、和食まで雪は作れるようになってた。
俺が野菜残そうとすると、昔は無言&無表情の威圧をかけてきて、それがボソッ呟くようになって……。今では「紫夕!好き嫌いは駄目!」って、怒りながら自分の箸で掴んでオレの口に突っ込んでくるようになった。
そんな事を思い出して、こんな状況なのに笑みが溢れてしまう。
……、っ……畜生。
雪に、会いてぇなーー……。
思わず心の中で本音が漏れた。
しかし、ならば自分が絶対にここで倒れる訳にはいかない。
グッと身体に力を込めて斬月を地面から抜こうと思った。
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