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第9章(3)紫夕side
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しおりを挟むっ、何て跳躍力だ……!
そのジャンプ力は魔器によって強化されているとはいえ、信じられない程だった。たったひと蹴り、途中足場も使わないまま雪は魔物化した親父の頭より高く跳ぶと雪桜を振るう。一振り、また一振り……。そしてそのまま身を回転させて斬り付け、斬り付けた力で身を翻して、一度も地に足を着ける事なく連続で斬り付けていく。
「嘘、だろ……っ」
以前から雪はその身軽さを生かした、まるで舞を舞っているかのような美しい流れる攻撃スタイルだった。
だが、今日のその戦いぶりは明らかに以前の雪とは比べられない程に、凄味を増していて……。目の前に、世界一美しい魔物が居た。
しかし、その姿に見惚れ、感動した直後。俺の中には、以前にも似たような光景があった事を思い出した。
あれは、そう。今から十二、三年程前の事。また守護神が隊に分かれておらず、出撃出来る任務に全員が参加していた時の事。
田舎町の片隅に、突如未確認の龍が出現したって知らせを受けて俺も一緒に討伐に向かった。
現場に行くと、そこに居たのは巨大な白い龍だった。背中には、白鳥のような翼が生えていて……。それは今まで魔物と言ってきた生物とはまるで違う気がして、息を呑むほどに美しかった。
何でだ?
この龍からは全く恐ろしさを感じないーー。
でも、現れた魔物は討伐するのが鉄則。
俺は他の隊員達と一緒になって、その白龍を討った。
そう、思い出したと同時に、昨日観たサクラさんの動画が浮かぶ。腕や脚に表れていた、白い鱗。それはーー……。
まさ……か。
俺が、あの時に討伐した白龍はーー……っ。
頭の中で繋がってしまった、新たな真実。
その時、ずっと空中で攻撃を繰り返していた雪が地にスタッと降り立ち、顔だけ振り返って俺を見た。
っーー……やっぱり、間違いない。
雪の瞳と、あの時に討伐した白龍の瞳が完全に一致した。
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