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番外編④三月side
④-2-6
しおりを挟む「っ、……1位で、通過?」
信じられなかった。
紫夕に実力がない、とか、弱いと思っていたからではない。だが、紫夕の同期にはオレの親友である一条の息子である風磨を始めとする優秀な子供達が集まり、過去一でレベルが高い模擬試験だ、って言われていたからだ。
それなのに、紫夕が、その中で1位ーー?
「ま、これが俺の実力ってやつだな!」
驚いた表情のまま視線を移したオレに、紫夕は親指をグッと立てて微笑った。
「うかうかしてんなよ?親父!
歳のせいにして立ち止まってると、俺があっという間に追い抜くぜ!」
そう言う姿にハッとして、オレは長い眠りから醒めたような感覚に陥った。
紫季が死んで、その後暫くずっと泣いて泣いて……夜は絶対にオレにしがみ付いてないと眠れなかったガキが、いつの間にかこんなに成長していた事に気付く。少し前まで同年代の子達よりも背が低くて、体力が追い付かなくて悔しがってたガキが……こんなにも立派になって、堂々と微笑っていた。
ーー……ああ、ホント。
立ち止まってたのは、オレだけだったんだな。
紫夕に気付かされた。時は過ぎ去りどんなに辛い過去があっても、生きていればまた幸せだと思える日が来る事を……。
「!っ、げ!な、なに泣いてんだよっ?!」
思わず涙が溢れたオレを見て慌てる紫夕。愛おしさ込み上げて、オレはそんな紫夕を抱き締めた。
今でも思う。紫季に起きた事件がなければ良かった、って……。
でも、そしたら紫夕はいなかったんだ、って思うと……「それは嫌だ!」とハッキリ言える自分がいる。
「ありがとな、紫夕」
「っ、親父……」
「生まれて来てくれて、ありがとう……!」
オレは、紫夕が愛おしいーー。
それなのに、オレがいつまでも立ち止まってちゃいけねぇ。あの日に縛られたままでいる事は、大切な紫夕がこの世に生きてる事を否定する事になっちまう。
……そして。
オレはようやく、前に進む決心がついたんだ。
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