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第2章 (2)バロンとヴァロンとバロン
2-2
しおりを挟むカタンッ……!
「!……え?」
耳に届いた、小さな物音。
思わず顔を上げて部屋を見渡すと、ベッド脇の窓のカーテンが夜風になびいてヒラヒラと揺れていた。
お母さんが出掛ける前に閉めていった筈の窓。
それに、さっきまで遊んでいた積み木のオモチャが崩れている。
なぜ?
不思議に思う私の瞳に、積み木の陰からぴょこんと何かが現れた。
「……みゃ~っ」
「!……。
ね、ねこ……ちゃん?」
二つの三角耳をピンッと立てた、黒と薄茶と白を混ぜ合わせた毛並みの、三毛猫の子猫。
子猫の突然の登場には驚いた。
けれど、子供の私でも軽々と抱き上げられそうな位に小さな三毛猫は、人懐っこく足元に擦り寄ってくる。
……可愛い。
「どうしたの?まいご?」
あまりの愛らしさに和んだ私は、身を屈めて子猫の頭を優しく撫でた。
……でも。
ふと、幼心に思ったんだ。
猫が窓を開けられる筈がない、って。
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