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第3章 (1)夏がきて……。
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しおりを挟む「私が怖いとか、思う以前に……。
ローザが私を良く思ってないと、思う」
ティーカップを机に置くと、私はローザとの事を思い返す。
初めて会った時から、彼女は少しも笑顔を見せない。
いつも淡々としているか、怒っていて……。
とても自分に好感を持ってくれているとは思えなかった。
一般庶民として、小さな町でご近所さんと助け合って生きてきた私には、それが何だか悲しかったのだ。
「……そんな事はありませんよ。
ローザ殿はここに勤める者の中で1番信用していい人物だと、私は思います」
「!……何故?」
溜め息を吐きかけた私はバロンの言葉に驚いて、椅子に座ったまま身体を彼の方に向けた。
「どの職場に限らず、人のほとんどは”仕事だから”、”お金がほしいから”働いているんです」
「?……みんな、そうじゃないの?」
首を傾げる私。
そんなの当たり前だと、思っていた。
キョトンとする私を見て、バロンは微笑みながら言葉を続ける。
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