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第3章 (2)夏がきて……。

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彼のくれる言葉に、声の大きさなんて必要ない。
たくさんの文字数も必要ない。

彼の瞳に見つめられたら、私の不安なんて嘘みたいに消えて行くの。


そうだ、私にはバロンがいる。
独りじゃ、ないんだよね?

「うんっ!」と頷いて、気付いたら私は微笑んでた。


「……では、参りましょう。お嬢様」

私の笑顔を見たバロンが手を差し出して、エスコートしてくれる。


「はい!」

彼の手を取ると、緊張で冷たかった手と一緒に心が暖かくなっていくのを感じた。
凍り付いたようだった身体も足も、バロンに導かれていくうちに溶けてゆく。


どんな時も、どんな場面も、バロンがいれば大丈夫。
そう思っていた、私。

まさかバロンと引き離されるなんて、思ってもいなかった。

……
…………。
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