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第4章 (2)バロンVS夢の配達人
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生暖かい風に頬を撫でられ、重い瞼をそっと開けると、ボヤける視界に見えるのは暗い辺り。
次第にハッキリしてくる目に映るのは、木が生い茂るーー森の中。
……!
そう、だ……。
私、男達に捕まって……。
「んッ……!」
自分の置かれている状況を思い出し、グッと力を込めて立ち上がろうとするがーー。
後ろで両手を縄で拘束されている事に気付く。
口にはさるぐつわを咬まされ、声を上げる事も出来ない。
何か出来る事はないか?と、辺りを見渡す。
けれど。
別荘から近い場所なのか、それとも遠く離れた場所なのか……。
それすらも分からない。
こんな状況下、以前の私ならばきっと何もしないまま諦めていただろう。
でも、今は強い想いがあった。
ーー帰りたい。
せっかく明日、バロンが私の元に戻ってくるのに……。
っ……バロン。
バロンに、会いたいッ……!
私は、初めてあの別荘に帰りたいと思えた。
自分にとって嫌な存在だった場所が、バロンに出会って”帰りたい場所”に、いつの間にか変わっていた。
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