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第8章 (4)たくさんのありがとう
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しおりを挟む「……。
その曲の名前、ご存知ですか?」
「ううん。
バロン、知ってるの?」
質問に首を横に振ると、彼はとても優しい瞳で私を見つめて話してくれた。
「その曲は、あるミュージカルの中に使われた歌なんです。
多分。丁度お嬢様のご両親が出会われた頃に、流行ったんじゃないでしょうか」
お父さんとお母さんが、出会った頃に流行ったミュージカル。
それを聞いて、私はピンッときた。
「あ!もしかして……。
デートで、観たのかな?」
「でしょうね。おそらく」
自分の両親がデート。
想像すると、なんか少し恥ずかしい。
でも。
もし想い出の曲なら、お父さんは素敵なプレゼントをしたんだなぁ~。
って、贈られたお母さんを羨ましく思った。
表情をほころばせる私に、バロンが言葉を続ける。
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