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最終章 (5)夢の言葉は魔法の呪文
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しおりを挟む顔を真っ赤にして声にならない気持ちに口をパクパクしていると、彼はそんな私を見てプッと吹き出す。
「ククッ、おもしれぇ女!
へ、変な顔すんなよっ……。金魚みてぇ!」
「なっ!ひ、ひどいッ……!」
”バロン”の時とは大違いの暴言に、グサッと傷付いた。
意地悪だし、なんかずっとからかわれてるみたい。
彼の言葉も態度も、私が思い描いていた”恋人達”や”付き合う”のイメージと違いすぎて悪い疑問が浮かぶ。
本当に私の事、好き、なのかな?
よく思い返したら「好き」なんて言われてない。
もしかして、私が思ってる気持ちとは違うのかな?
ヴァロンはモテそうだし、女の子に慣れてそうだし……。
私はその内の一人、とか?
色々考えいたら、なんだか不安になって涙が出そうだ。
潤んだ瞳を見られたくなくて俯くと、ヴァロンはパッと私から手を放した。
「わ、悪い……。泣くなよ……っ」
気まずい沈黙。
そのうち彼は、私から目を逸らして海の方を見てしまった。
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