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第10章 (1)シュウside
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しおりを挟む普段ヴァロンは飲料は水しか飲まないし、客人を自宅に招く事もしない。
そんな彼の家の冷蔵庫に飲み物はいつも水のボトルのみ。
私はそれを指摘した事もないし、別の飲み物が欲しいと催促した事もない。
と、言う事は……。
何度か仕事の打ち合わせで使った飲食店で、私がハーブティーを注文していのをヴァロンは覚えていたのだ。
「それはヴァロンが、シュウさんがいつ来ても良いように買ったシュウさん用のハーブティーです。
一緒に買い物行くと、必ず新商品チェックしてますよ?」
アカリさんは話してくれた。
いつもヴァロンが、私の事を色々自分に話してくれると…。
そして、アカリさんと結婚して以来私が全く遊びに来ないと愚痴っていた。と……。
全く私にはそんな態度を見せないのに……。
ヴァロンは寂しいと感じてくれていた。
好きな物を用意して、次に来たら私を喜ばせようと……考えていてくれた。
……幸せに、したい。
やっぱりヴァロンには幸せになってほしい。
私はやはり今のままではいけない。
と、アカリさんと真剣に話し合おうと思った。
……でも。
そんな私の心配やお節介は必要なかった。
アカリさんの首筋に見付けた痛々しい程に紅い痣になったキスマーク。
それは、どう見ても愛に溢れた幸せな行為から付けられた物ではなくて……。心のバランスの崩れたヴァロンが性欲を抑え切れず、力づくでアカリさんを抱こうとした物だと感じた。
それなのにアカリさんは、微笑んだ。
あのまま襲われてもよかった。
ヴァロンに求めてもらえて、嫌じゃなかった。
むしろ嬉しかった。と……。
”私、おかしいですかね?”……。
そう言って、照れたように微笑むアカリさんを見た時。
私はアカリさんのヴァロンに対する、深い計り知れない愛を……知った。
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