249 / 297
番外編 虹の雫〜リディアside〜
1-5
しおりを挟む
【数日後/闇市場】
仕事を終わらせて帰ろうとした時だった。
通り掛かった時に小耳に挟んだの、珍しい容姿をした子供の話。
今日の競り市のメイン。
別に助けるつもりも、買うつもりもなかった。
でも、帰りの船まで時間もあるし……。
私はなんとなく、会場に足を進めていた。
暗い会場。
ステージに上げられたその子供は、小さかった。
俯いているその姿は、一瞬女の子かと思わせるくらいに貧弱で……。
照明を当てられて、透き通った色素の薄い白金色の髪が輝く。
私と同じ、運命の子供。
誰に買われても、同じ。
自分で歩かなきゃ、何も変われない。
可哀想ね。
と、同情した……その時だった。
「おい、お客様に顔を見せろッ……!」
黒いスーツの男に、グイッと強引に顔を上げられる子供。
長い前髪の隙間から、ゆっくり見開かれたその目は……。
客席を射るような鋭い眼光。
「!……ッ」
私はその子の瞳から、目を逸らせなくなった。
呼吸が、止まる。
その次の瞬間。
子供は目を細めて笑った。
私の心臓が、トクンッと……鳴る。
その子供の表情が、昔絵本で見た王子様の絵と……。何故か重なる。
”やっと、見付けた”……。
”やっと、逢えた”……。
それは直感で、無意識に感じた感情。
「……5億ッ!!」
気付いたら、私はその子を競り落としていた。
……
…………。
仕事を終わらせて帰ろうとした時だった。
通り掛かった時に小耳に挟んだの、珍しい容姿をした子供の話。
今日の競り市のメイン。
別に助けるつもりも、買うつもりもなかった。
でも、帰りの船まで時間もあるし……。
私はなんとなく、会場に足を進めていた。
暗い会場。
ステージに上げられたその子供は、小さかった。
俯いているその姿は、一瞬女の子かと思わせるくらいに貧弱で……。
照明を当てられて、透き通った色素の薄い白金色の髪が輝く。
私と同じ、運命の子供。
誰に買われても、同じ。
自分で歩かなきゃ、何も変われない。
可哀想ね。
と、同情した……その時だった。
「おい、お客様に顔を見せろッ……!」
黒いスーツの男に、グイッと強引に顔を上げられる子供。
長い前髪の隙間から、ゆっくり見開かれたその目は……。
客席を射るような鋭い眼光。
「!……ッ」
私はその子の瞳から、目を逸らせなくなった。
呼吸が、止まる。
その次の瞬間。
子供は目を細めて笑った。
私の心臓が、トクンッと……鳴る。
その子供の表情が、昔絵本で見た王子様の絵と……。何故か重なる。
”やっと、見付けた”……。
”やっと、逢えた”……。
それは直感で、無意識に感じた感情。
「……5億ッ!!」
気付いたら、私はその子を競り落としていた。
……
…………。
0
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~
世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。
──え……この方、誰?
相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。
けれど私は、自分の名前すら思い出せない。
訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。
「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」
……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!?
しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。
もしかして、そのせいで私は命を狙われている?
公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。
全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね!
※本作品はR18表現があります、ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる