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第17章(2)雪side
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…………。
紫夕が帰って来たら、なんて話そうかーー?
きっと、最初は驚くけど……紫夕なら大丈夫。
今まで、どんなオレも受け入れて、一緒に居てくれて、愛してくれた。
だから、赤ちゃんの事を知っても一緒に喜んでくれる。
「一緒に頑張ろう!」って。
またきっと、オレを支えてくれるんだ。
「紫夕、早く帰って来ないかなぁ……」
夜。
ベッドに座りながら、オレは以前に紫夕から貰った、幼い紫夕と三月さんと紫季さんで写っている家族写真を眺めていた。
オレも……。
ううん。オレ達も、本当の家族になれるんだ。
紫夕はオレを選んでくれた。
左手の薬指に指輪をはめてくれて、たくさんの愛の言葉もくれた。
けど、やっぱり心の何処かで"本当の家族"とは違う、って違和感を感じていた。
でも、ここに居るんだ。
オレと紫夕の、家族の証。
笑みが溢れて止まない。
お腹に触れる度、愛おしさが込み上げる。
にやにやとしていると、紫雪がピョンッとベッドに飛び乗って来て、オレにスリスリと擦り寄ってきた。
「紫雪。
弟が妹が出来たんだ。生まれたら、一緒に遊んであげてね?」
オレがそう言うと、紫雪も嬉しそうに「みゃ~!」って返事してくれた気がした。
ずっとずっと夢見てた、幸せな家族。
オレと紫夕と子供達と暮らせる夢、叶うんだーー。
幸せの絶頂だった。
それがまさか、待ちに待った紫夕の帰宅と同時に砕けるなんて……思わなかった。
ガチャリッ、と玄関の鍵が解除された音が聞こえて扉が開く。
ベッドから立ち上がって玄関の方を見ると、帰宅した紫夕が靴を脱ぎながらオレの視線に気付いてくれて、「ただいま」って笑顔で言ってくれた。
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