スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
342 / 589
第17章(2)雪side

17-2-6

しおりを挟む

……
…………。

紫夕しゆうが帰って来たら、なんて話そうかーー?

きっと、最初は驚くけど……紫夕しゆうなら大丈夫。
今まで、どんなオレも受け入れて、一緒に居てくれて、愛してくれた。
だから、赤ちゃんの事を知っても一緒に喜んでくれる。

「一緒に頑張ろう!」って。

またきっと、オレを支えてくれるんだ。


紫夕しゆう、早く帰って来ないかなぁ……」

夜。
ベッドに座りながら、オレは以前に紫夕しゆうから貰った、幼い紫夕しゆう三月みづきさんと紫季しきさんで写っている家族写真を眺めていた。

オレも……。
ううん。オレ達も、本当の家族になれるんだ。

紫夕しゆうはオレを選んでくれた。
左手の薬指に指輪をはめてくれて、たくさんの愛の言葉もくれた。
けど、やっぱり心の何処かで"本当の家族"とは違う、って違和感を感じていた。

でも、ここに居るんだ。
オレと紫夕しゆうの、家族の証赤ちゃん

笑みが溢れて止まない。
お腹に触れる度、愛おしさが込み上げる。
にやにやとしていると、紫雪しせつがピョンッとベッドに飛び乗って来て、オレにスリスリと擦り寄ってきた。

紫雪しせつ
弟が妹が出来たんだ。生まれたら、一緒に遊んであげてね?」

オレがそう言うと、紫雪しせつも嬉しそうに「みゃ~!」って返事してくれた気がした。

ずっとずっと夢見てた、幸せな家族。
オレと紫夕しゆうと子供達と暮らせる夢、叶うんだーー。

幸せの絶頂だった。
それがまさか、待ちに待った紫夕しゆうの帰宅と同時に砕けるなんて……思わなかった。

ガチャリッ、と玄関の鍵が解除された音が聞こえて扉が開く。
ベッドから立ち上がって玄関の方を見ると、帰宅した紫夕しゆうが靴を脱ぎながらオレの視線に気付いてくれて、「ただいま」って笑顔で言ってくれた。
しおりを挟む

処理中です...