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第1章(3)紫愛side
1-3-1
しおりを挟む兄貴は、昔から私に優しかった。
ママがいなくなった時も。
私がパパに怒られた時も。
雷が怖くて泣いてた時も。
いつだって傍に居て、抱き締めてくれた。
いつだったか……。
幼い私がまだ自分の能力を制御し切れなくて、同世代の子供達の前で人間離れした行動をしちゃって……。不気味がられて、仲間外れにされちゃった時も……。
「僕が、紫愛の傍にずっと居る!護る!!
ずっとずっと、僕だけは何があっても紫愛の事……大好きだから!!」
その兄貴の言葉は、ずっと私の心を灯してくれていた。
兄貴のその言葉があったから。
兄貴の存在があったから……。
私は人型魔物の自分で、生きてこられたの。
……
…………。
「……はぁ~、来ちゃった」
ここは守護神本部の男子寮がある敷地内。
寮の他の利用者に見付からないようにこっそりこっそり忍び込んで、正面からだと騒ぎになっちゃうから裏の方から……ようやく兄貴の部屋のベランダまで辿り着いた。
兄貴、帰ってるかなぁ?
昼休憩に食堂で同じ第1部隊のハルさん達に会ったから、本部に帰って来ている事は間違いない。
けど、もしかしたら寄り道していたり、誰かと会ってたり……。そう、私が知らない間に彼女が出来て、デートしてる可能性だって、ある。
幼い頃は毎日のように一緒に居て、一緒に寝るのも当たり前だった。
でも、私が13歳になった頃から徐々に徐々に一緒に居る時間は少なくなっていって、何だか距離も……遠くなっていく気がしていた。
それでも、一緒の家で暮らせてた頃はまだ良かった。
それなのに、私が15歳になったら急に男性寮に入って、一人暮らしを始めちゃって……。今ではお正月位しか、家に帰って来ない。
同じ守護神で働いてても、兄貴のいる第1部隊は遠征が多いから滅多に顔を合わせる事もない。
私、ブラコン過ぎるのかな……?
寂しい、と感じずにはいられなかった。
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