グレイ

第１章（４）弥夜side

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紫愛シアは知らない。
僕達が、本当の兄妹ではない事をーー……。

僕の本当の両親は、父親が人型魔物を造り出した橘たちばな 涼夜りょうやのもう1人の息子ー橘たちばな 響夜きょうやー。
母親は僕を産む際に亡くなっているらしいから、おそらく祖父の研究所の者だったのだろう。
つまり、紫愛シアとは本当は従兄妹いとこ同士なんだ。

けど、本当のお父さんは、その時研究所に囚われていた紫愛シアの母親である雪ゆきさんと、当時４歳だった僕を逃す為に祖父に戦いを挑み……生死不明となってしまった。
そんな、身寄りのなくなった僕を引き取って育ててくれたのが、今の父さんー望月もちづき 紫夕しゆうー。

紫夕さん父さんと雪さん母さんは僕を暖かく家族に迎え入れてくれて、二人の本当の子供である紫愛シアが生まれてからも、分け隔てなく可愛がってくれた。
最初は戸惑いや不安もあったけど、それはすぐに薄れていって、毎日が本当に幸せだった。

雪さん母さんが魔物化してしまった時も、「この世界を変えて、必ずまた雪ゆきと暮らそう！」って紫夕さん父さんの言葉にみんなで団結して……。僕達家族の絆は弱くなるどころか、より強くなっていったと思う。

……
…………けど。
年月を重ねるうちに、僕の"ある気持ち"が少しずつ変わっていった。

いや、本当は最初からその気持ちは僕の中に在ったのかも知れない。
それが、僕が成長して、男になって、強く目覚めてしまった。

紫愛シアを想う、特別な気持ちーー。

ずっと、ずっと、僕は紫愛シアが可愛くて仕方なかった。
大切な、大切な、妹だったんだ。

ーー……でも、違った。

確かに僕と紫愛シアはすごく仲が良かったけど、それはあくまで大切な家族で、兄妹だから、と自分に言い聞かせてきた。

だって、そうじゃなきゃ……。
僕は、家族ではいられなくなってしまうからーー……。

けど、ある日。
僕は気付いてしまった。