グレイ

第１章（４）弥夜side

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それは、紫愛シアが１５歳になって守護神ガーディアンの隊員試験に合格した時くらいの事。
この時にはもちろん、子供の頃ほどずっと一緒、と言う訳ではなかった。紫愛シアが１３歳になった頃から、当然着替えたり眠ったりするのは別々の部屋だったし、僕は一足先に守護神ガーディアンの隊員として働いていたから、実家暮らしとはいえ別々の時間を過ごす事も多かった。

でもこの日は、紫愛シアが生まれた時から家に居て、ずっと一緒に育ってきた猫が……。僕達の家族同然だった紫雪しせつが亡くなってしまって、心を痛めた紫愛シアがなかなか泣き止まなかったんだ。
いつもは大食いなのに全くご飯も食べなくて、昨夜からずっと寝ていなくて……。

だから紫愛シアが少しでも休めるように、眠るまで傍に居る事にしたんだ。
子供の頃、紫愛シアがぐずったり、雷が怖くて泣いていた夜に、手を繋いで一緒に寝てあげていた時のように……。


自室のベッドで眠る紫愛シアの手を握ってやりながら、僕は床に座ってその寝顔をじっと見つめた。
もしかしたら僕はこうする事で、自分の本当の気持ちを確かめたかったのかも知れない。

紫愛シアが成長して、別の男と仲良くしていたり、笑っている姿を目にする度にモヤモヤとしていた感情。
紫愛シアの口から、「ハルさんが好きかも」って初恋の事を聞いた時に、僕の方がハルさんより強いのに！って強く抱いた感情。
守護神ガーディアンの女性に告白されても、何にも感じないこの感情……。

紫愛シアより可愛い子なんていないーー。

他の誰よりも紫愛シアを目で追って、紫愛シアの事ばかり考えてしまうこの感情が一体何なのか……僕は知りたかったんだ。

本当は自分でも99%分かりながらも、"ただの過度なシスコンなんだ"、って、１％でも……紫愛シアと兄妹であり、家族で在れる道を願ってた。