グレイ

☆リサーナ☆

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第4章(3)弥夜side

4-3-2

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***

弥夜やよい
男と男の約束、だぞ?』

それが、お父さんとの最後の別れ際。
滅多に見せなかった珍しい笑顔で、僕の頭をポンポンッて叩くように撫でてくれた。
黒いマントのようなロングコートをなびかせながら消えて行った後ろ姿を、ずっとずっと忘れる事なんて出来なかった。

当時は小さくて頼りなかった僕だけど、きっと今なら力になれる。
お父さんを助けられる力が、今の僕にならきっとあると思った。

……
…………。

ハルさんとリンさんと別れた僕は部屋には戻らず、会議が終わったら総指揮官室に戻って来る筈の紫夕さん父さんを物陰に隠れて待ち伏せした。

調査区域には、許可された隊員以外は入れないようゲートが設置されている。
人型魔物である僕の力を持ってさえすれば、もしかしたら簡単に突破出来るかも知れないが、それは総指揮官である紫夕さん父さん面子メンツを潰してしまう事になる。

それは、出来れば避けたい……。

迷惑をかけたい訳じゃない。
僕はただ、自分の実の父親が生きているのか自分で確かめたいだけなんだ。
だから紫夕さん父さんと話して、今回の任務を僕に任せてくれれば、それだけで良かった。

本当のお父さんに会いたいーー。

ただ、それだけの想い。
総指揮官室の方に歩いてくる紫夕さん父さんが目に映った瞬間、その気持ちだけで胸がいっぱいになって、僕は動いていた。

「父さ……っ、総指揮官……!!」

「っ、弥夜やよい……」

強い想いに突き動かされた身体は止まらない。
僕は驚く紫夕さん父さんに駆け寄ると、せきを切ったように口を開いた。

「お願いですっ、今回の任務は……ッ、ダークゲイルの調査は僕に行かせて下さいっ!!」

ずっと口には出さなかったけど、お父さんの事を忘れた日は1日もなかった。

「自分の目でッ……自分の手で、ハッキリさせたいんですッ!!」

幼過ぎて、手を伸ばす事すら出来なかった別れ際あの時
ずっと、ずっと後悔していた。
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