グレイ

第４章（４）紫愛side

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キスされた時あの時、私に抱き着いて来た兄貴にーにはどこか様子がおかしかった。
きっと兄貴にーには、1人で悩み苦しんでいたのだ。でも私が、本当の兄妹だと信じているから言えなくて……。
1人で我慢して、ずっと孤独を抱えていたのだ。

それなのに、気付けず拒絶してしまった自分。逃げてしまった自分。
何も知らなかったとは言え、私はそんな自分が許せなかった。

「なら、弥夜やよいの本当の父親と、今回の目的ターゲットであるダークゲイル。
それの関係性について、教えて頂けますか？」

話は、更に深い所へと進む。
ハルさんが次に質問すると、間にトニーさんが入る。

「それ、オレ様がずっと紫夕しゆうさんに聞きたかった部分と関係があるから口を挟ませてくれ。
なぁ、オレ様の考えが正しかったら……弥夜やよいの本当の父親って、橘たちばな 響夜きょうやじゃあねぇのか？」

橘たちばな 響夜きょうや。
元、この守護神ガーディアンで働く研究者の1番上トップに居た橘たちばな 涼夜りょうやの息子。

「えっ？！そいつって、父親と一緒になってこの守護神ガーディアンを乱した悪人ですよねっ？
弥夜やよいはっ、そんな奴の息子なんですかっ？！」

リンさんが、そう声をあげた。
守護神ガーディアンで働く人達の全てが、昔、橘たちばな 涼夜りょうやがその息子である橘たちばな 響夜きょうやを使い、数々の事件を起こした事を知っている。
もう二度とそんな事件が起こらないよう、言い伝えられている。

知らないのは、魔物だけではなく人をも研究に使い、人型魔物を造り出していた事ーー……。

でも、

「そしてその橘たちばな 響夜きょうやは、橘たちばな 涼夜りょうやが造り出した最強の兵器だ」

続くトニーさんの声が、今まで以上にみんなの注目を集める。
私は、まさかのトニーさんの言葉に、息が出来なかった。