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第5章(5)弥夜side
5-5-3
しおりを挟む「響夜は……。
お前の本当の父親は、きっと生きてる」
「!っ、……え?」
耳を疑う。
突然のその言葉に僕は驚いて、紫夕さんの方を見た。
お父さんが、生きてるーー?
まさかの信じられない言葉。
さっきまで考えていた罪悪感を一瞬忘れて、僕は口を開いた。
「で、でも……目撃情報や僕が見たダークゲイルは、さっき幻だって……」
そう、ついさっき「あれは幻だ」と言ったのは紫夕さんだ。
それなのにそんな事を言うなんて、落胆していた僕を慰める為の嘘じゃないか?と、疑ってしまう。
探る様な、疑うような口調で呟く僕の目を真っ直ぐに見つめて、紫夕さんは答えた。
「ああ、そうだ。響夜はここには居ない。
だが、きっと生きている。実はこっそりと、誰にも話さないでずっと調べてたんだ。
確かな情報が入るまで、お前にも話さないつもりだった。ぬか喜びさせたくなかったからな」
嘘偽りを感じさせない、紫夕さんの瞳。
つまり、今回のこの任務で目撃されたダークゲイルが、紫夕さんには初めから僕の本当の父親ではないと分かっていたのだ。
だから、今回の任務には僕を外したーー……?
そうだ。
紫夕さんは、こういう人だった。
幼い頃に出会った時からずっと、超が付く程に不器用で、優しいんだ。
決して僕達を、裏切ったり見放す人じゃないんだ。
分かっていた筈なのに、何故信じられなかったんだろうーー?
ようやく冷静になって、僕は心の底から悔やんだ。
「だが、それは間違いだったな。実の父親の事なのに、お前を蚊帳の外にするのは……。
お前ももう子供じゃない。これからは、一緒に響夜を探そう!
今までちゃんと話さなくて、本当にすまなかった」
そして、紫夕さんは僕に謝った。
僕が謝らなきゃいけないのに、紫夕さんに先に謝らせてしまったんだ。
首を横に振って、次は自分が謝らなきゃいけない、って思った。
けど、
「それから、お前と紫愛との事だけどよ。最初は驚いてあんな反応しちまったが、俺はーー……」
紫夕さんがそう言いかけた時の事だった。
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