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第1章(1)アカリside

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”お仕事が忙しいから”。
これまでずっと、私はそう言って子供達に言い聞かせてきた。

”お父さんは遠くでお仕事をしているから、なかなか会えないんだよ。”……って。

子供達の為に、ついてきたと思っていた嘘。


でも、本当は私がそう思いたかっただけ。
ヴァロンが自分の傍からいなくなった現実を受け止め切れていなくて、そう必死に思い込もうとしていた。

その結果。
私は、自分の弱さのせいで娘に当たってしまう。


「……ヒナ、パパきらい」

「!っ……ヒナタ」

「ユウさんが、パパがいい。
ユウさんがパパになってくれたらいいのにな……」

「っ……ヒナタッ!!」

ヒナタの言葉にカッとなって……。
気付いたら、パァーンッ!という音が部屋に響いていた。

音が響いた直後にハッとして、自分の右手に微かな痺れを感じる。
そんな私を横目で見つめる、驚いたように目を見開いて、左頬を赤くしたヒナタ。

私は思わず、小さな娘の頬を叩いていた。
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