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第1章(4)レナside
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しおりを挟む顔だけ振り返った私の瞳に映るのは、儚げなシュウ様の笑顔。
見ていると何故だか涙が出そうになるその笑顔に、気を引き締めて私は笑顔を返す。
「はいっ!行ってまいります!」
元気よく返事をして、廊下に出ると扉を閉めて、少し駆け出して……。
マスター部屋から離れると、壁を背もたれにして私は座り込んだ。
シュウ様の瞳は、笑顔なのに笑っていなかった。
病で光を失っているからじゃない。
あれは、心からの笑顔ではないからだ。
労いの言葉も、マスターとして言っているだけ。
”良いマスターで在ろう”と、しているだけ。
ヴァロン様と一緒に、生き生きと輝いていた”シュウ様”は……もういないのだ。
そう感じたら、自然と涙が溢れてきて、私の頬をつたり落ちた。
「っ……ヴァロン様……ッ」
帰ってきてほしい。
口に出来ない願いを、私は心の中で何度も呟いていた。
……
………。
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