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第2章(3)モニカside
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【中庭】
散歩、といってももう夜なので遠くには行けない。
私達は邸の庭に出ると、手を繋いでゆっくりと歩き始めた。
静かな夜の空間。
特に会話を交わす事もなく少し歩いていると、
手を引かれるようにしていた私にジェイクが声を掛ける。
「モニカ。ほら、空を見てごらん?」
「え?……あ!わぁ~!!」
その言葉に俯いていた顔を上げると、その先にはキラキラと輝く星が夜空一面に広がっていた。
思わず足を止めて見惚れていると、ジェイクが繋いでいるのとは逆の手で私の肩掛けを直しながら言葉を続ける。
「今夜はね、星が特に綺麗に見える日なんだって。モニカと一緒に見たくてさ」
そう言った彼に目を向けると、夜の薄暗闇でも分かるくらいに真っ赤な顔。
照れ屋の癖にいつも頑張って私の前では格好良く在ろうとするジェイク。
そんな彼がなんだか可愛くて、私は思わずふふっと笑った。
「……良かった」
「?……何が?」
「やっと笑ったから。
モニカが、やっと笑ってくれたからさ」
「……」
ジェイクのそう言われて、私はハッとした。
彼は気付いていたんだ、私が元気がない事に。
だから、こうして散歩に連れ出してくれたのだと悟った。
私を見つめてくれる優しい瞳。
出逢った時から変わらない。
政略結婚で親同士が決めた結婚だからと何もかも諦めて、素直になれず我が儘だった私。
そんな私を、ジェイクはいつも優しく包んでくれた。
”出逢い方なんて、関係ありません。
僕と、ここからゆっくり始めませんか?”……。
結婚式当日に、彼は私にそう言った。
結婚をスタートに互いを知って行く、なんて常識破りだと思った。
けど、私を見つめる瞳があまりにも優しかったから……。信じよう、って思えた。
きっとあの瞬間、私はジェイクに恋をしたわ。
散歩、といってももう夜なので遠くには行けない。
私達は邸の庭に出ると、手を繋いでゆっくりと歩き始めた。
静かな夜の空間。
特に会話を交わす事もなく少し歩いていると、
手を引かれるようにしていた私にジェイクが声を掛ける。
「モニカ。ほら、空を見てごらん?」
「え?……あ!わぁ~!!」
その言葉に俯いていた顔を上げると、その先にはキラキラと輝く星が夜空一面に広がっていた。
思わず足を止めて見惚れていると、ジェイクが繋いでいるのとは逆の手で私の肩掛けを直しながら言葉を続ける。
「今夜はね、星が特に綺麗に見える日なんだって。モニカと一緒に見たくてさ」
そう言った彼に目を向けると、夜の薄暗闇でも分かるくらいに真っ赤な顔。
照れ屋の癖にいつも頑張って私の前では格好良く在ろうとするジェイク。
そんな彼がなんだか可愛くて、私は思わずふふっと笑った。
「……良かった」
「?……何が?」
「やっと笑ったから。
モニカが、やっと笑ってくれたからさ」
「……」
ジェイクのそう言われて、私はハッとした。
彼は気付いていたんだ、私が元気がない事に。
だから、こうして散歩に連れ出してくれたのだと悟った。
私を見つめてくれる優しい瞳。
出逢った時から変わらない。
政略結婚で親同士が決めた結婚だからと何もかも諦めて、素直になれず我が儘だった私。
そんな私を、ジェイクはいつも優しく包んでくれた。
”出逢い方なんて、関係ありません。
僕と、ここからゆっくり始めませんか?”……。
結婚式当日に、彼は私にそう言った。
結婚をスタートに互いを知って行く、なんて常識破りだと思った。
けど、私を見つめる瞳があまりにも優しかったから……。信じよう、って思えた。
きっとあの瞬間、私はジェイクに恋をしたわ。
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