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第4章(3)アカリside
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しおりを挟む「ありがとう、ございますっ……!」
正直、シャルマ様がヴァロンをどのように扱っているのかへの心配や不安があった。
けど、ミネアさんの事は信じられる。
そう思った私は、自然と彼女に頭を下げてお礼を言っていた。
ミネアさんは、そんな私を見て一瞬驚いた表情を浮かべたが……。
軽く咳払いをすると、相変わらずの落ち着いた口調で言う。
「別に貴女に御礼をいわれる事は何もしていないわ。わたくしは、全て自分と自分の大切なものに必死になっているだけよ。
……だってマオ様は、わたくしの婚約者だもの」
「……。え……っ?」
ミネアさんの言葉に、今度は私が驚いた表情で固まる。
”マオ様は、わたくしの婚約者だもの”。
聞き間違いであってほしいと疑う私の中で、何度も木霊する台詞。
婚約者?
ヴァロンとミネアさんが、婚約者?
静かな絶望に、言葉が出てこない。
「わたくしを良い人だとか思わないでね?むしろ逆よ。
わたくしは貴女を邪魔だと思っているわ。
過ぎた事とはいえ、マオ様と夫婦だったんですものね?」
呆然と見つめる私を、ミネアさんはさっきまでとは違う強い眼光で見つめてくる。
そして、何も言えないでいる私を嘲笑うように鼻を鳴らした。
「けど、それも今では私の役割。
わたくしとマオ様は、身も心も愛し合っているのよ?」
「……」
「貴女だって、元妻なら分かるでしょう?彼がどんな風に愛してくれるのか?
ああ見えて、二人きりになると……ね?」
「っ……!」
ミネアさんが自分の顔にかかった長い髪を掻き上げて、勝ち誇った表情を浮かべる。
その仕草と表情があまりにも色っぽくて……。
彼女の言葉と行動に、私の心は沸騰しそうなくらいにカァッとなった。
身も心も、愛し合っている?
ヴァロンと、ミネアさん……が?
考えたくもない事だった。
しかし、私の頭の中には次々とヴァロンとの想い出が映像のように浮かんでくる。
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